6話
お昼前の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、漆原さんと途中で合流した朝日と三人で屋上へ向かう。
屋上に着くと、先に真白さんと先輩が着いていたようで私達を待っていてくれた。
全員が揃いそれぞれお弁当を並べると、普通に会話をして楽しんでいたのだが、ふと登校中に朝日達が言っていた頑張ろうという言葉を思い出し何気なく意味を聞いてみた。
そう…本当に何気なく聞いた…。
これが、このあと大変なことになるなんて考えもせず…。
「かずき!昨日私が、かずきに最後に何て言ったか忘れちゃったの?」
朝日が昨日最後に言ったこと…?
昨日のことを思い出す。
ーー かずきが女とか男とか気にならなくなるくらい、私のことを大好きにさせればいいんだ! ーー
あ…。
「どうやら思い出したみたいね!」
いやいや…まさか…
「あの後、私達話し合って決めたの!かずきに絶対好きにさせてみせるって!」
「ええ!そうよ!絶対あなたを落とす!」
「うん!私のこと必ず好きにさせるんだ!」
「はい…!王子様に好きだと言ってもらうんです…!」
彼女達は真剣な顔をして宣言する。そしてさらに続けた。
「それでね、私達は恋のライバルであり同じ目標の仲間ってこと!お互いを励まし合い競い合う!」
「そして結成したのよ!」
「かずっちを魅了し」
「王子様を落とす…」
「通称、『かずきを攻略する会』をね!」
たしかにあのあと何か話し合ってるなとは思ってたけど…。
えぇ…知らない間にすごいことになってたよ…。
「そういう訳でこれからは覚悟しててね!」
「これからはあなたへの気持ちを遠慮せず伝えさせてもらうわ!」
「いっぱい好きだってアピールさせてもらうからね!」
「王子様に、したいことたくさんあります…!」
うん…まぁ諦めてないなとは思ってたよ…。
別に本気で嫌だとか、迷惑って訳じゃないからいいんだけどね…。
それにこんなかわいい子や、綺麗な人から好きって言ってもらえるなんて、いくら恋愛対象が異性にしかない私でも嬉しいし…。
でも…
でもね…
「ほどほどにお願いします…」
それから私に宣言した彼女達は凄かった…。
私に抱きつくのは当たり前。
私にお弁当を食べさせようと、あーんとさせたり。
挙げ句には口移しで食べさせようとしたり。
さすがに口移しは私のファーストキスを、まだあげるつもりはなかったから必死に抵抗して守ったけど…。
そうしてなんとかお昼を済ませると、四人からそれぞれ抱きつかれ、一時的に満足したようなので解散することとなった。
これから私は彼女達からどんなことをされてしまうんだろう…。
不安が残ったまま教室に戻ることになった…。
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