【声劇台本 ♂♀1】―電子の深海魚―

【声劇台本 ♂♀1】―電子の深海魚―

〇上演　目安 時間：5分

〇比率　♂♀1の1人用声劇台本

〇登場人物

・深海魚：♂♀

　全てを諦め、全てを受け入れた名も無きサカナ

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※利用規約につきましては別途項目を設けておりますので、

　そちらをご一読くださいませ。

〇名前の横に（M）の記載がある場合は各キャラクターのモノローグです。

　一部【】内で括っているセリフは心の声としてお読みください。

　それ以外の（）は動作を表すト書きとなります（セリフ内に入っている箇所が

　多々あり読みにくいかと思います。誠に申し訳ございません！）

〇演者様の性別不問（男性→女性、女性→男性）、及び登場人物の性別変更、

　セリフの改変、アドリブ等は可能です。

〇人数の増減についても不問です。

　配信等を含めたご利用の際は宜しければ下記テンプレートをご利用くださいませ。

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　作品：―電子の深海魚―

　作者：平野　斎

〇配役

・深海魚：

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◇電子の海の底

　深海魚

「一筋の光も届かぬ闇の中　力無く漂い心を殺し　もう誰にも触れられぬよう

　閉じ込めておいてくれ

　退（ひ）くことも進むことも　愛することも憎むことも　全て……全て捨ててしまおう

　喜びなど苦しみを引き立たせる為の調味料（スパイス）でしか無い

　嗚呼　それならば初めから求めるな信じるな期待などするな　

　そうすれば何もかも受け入れられる

　いつも世界は薄いヴェールの向こう側に有って　優しい人達が手を差し伸べて

　楽しそうな顔をして　親身になってこちらを向いていてくれたような気がする

　さようなら　うつろうもの達　変わりえぬ私は　そちら側は行けぬ

　良くも悪くも純粋で　進んで汚（けが）れをこそ求め　自らを壊してきた私には

　貴方達は余りにも眩（まぶ）しすぎて　

　目が潰（つぶ）れた

　当たり前や普通や正しさや偽りなどが人それぞれ有るように

　譲れないものや大切な人が私にもかつて在（あ）って

　異質な自らを必死に『普通』に取り繕（つくろ）うふりをして

　何とか繋ぎ留（と）めていた

　だが　もう　疲れた　どうでもいい

　チンケな誇り（プライド）は犬に喰（く）わせた

　気にするな　私など初めから居なかったのだから

　鋭い真実（ナイフ）は飲み込んで　墓まで持っていくよ

　だから代わりに意味の無いことを嘯（うそぶ）いて　道化（どうけ）になって

　私など人の記憶に残らぬように努めて　言葉を選んで

　独りよがりの夜（よ）を明かすから

　もし君が色々なしがらみに耐えきれず堕（お）ちてきたら

　気が向いた時にでも遊ぼうか　この血塗（ちまみ）れの地獄で」