第51話 決戦。

国道のバイパスとか言うあたりに着くと自衛官が宅配イーツを受け取って待ってくれていた。

副総裁のおじさんは宇都宮餃子を「食べ放題は無理でも在庫は全部抑えておいたよ」と言って用意してくれた。

後は動画が届いたので見ると、総裁と幹事長とか言うジジイが副総裁のおじさんからフルスイングでぶん殴られていて皆で感動した。


ああ言う人は治す価値あるよな。


テンションの上がる俺が「小夏!揚げ餃子OK!?」と聞けば小夏は「水餃子も焼き餃子もOKだよ!」と言ってくれる。


「飲み物は!?」

「プーアル茶!」


何か你好を思い出した俺は給仕のお姉さんを思い浮かべて小夏に「…チャイナドレス着る?」と聞くと小夏はノリノリで「あはは、それいいね。久しぶりに大神さんに会ったから頼んでみる?」と言う。


「アイツ変なとこに穴の空いたドスケベチャイナドレス持って来そうだからやだなぁ」

「じゃあ日影さんに頼む?」


まあ、確かに好みをおさえたチャイナドレスは日影一太郎だろうが「日影さんは今回の奢り飯で破産するから無理だろ」と言っておいた。


そんな俺の言葉に「えぇ!?」と言う日影一太郎と「ひぇっ!?夢!冬音を止めてくれ!」と言う楠木恋。


余裕の俺は軽く餃子を食べると「皆、化け物を呼ぶから警戒よろしくー」と言い「誘発効果フルパワー!」と言うが当然人には何も無い。


スマホで何かを測った楠木恋が「んな!?私の誘発剤の13倍の濃度だと?」とか言う。


「あら、それ凄いの?」

「馬鹿者!計算上だと本土中の化け物がお前めがけてやってくる!」


近県だけだったはずが本土中と言われてしまい「マジで?」と返す横で母さんは自慢げに「あらあら、やっぱり私の息子は凄いわね」と言って笑い、楠木恋が「夢!?お前はバカか!?」と怒鳴っている。



「まあまあ、やるしかないって。小夏」

「うん。今のでお腹空いたよね?春巻だよねー」


春巻で元気になった俺は空を見ているとまだ午前中なのにもう夜中のように真っ暗だった。

あまりの光景に「あわわわわ、インコにアゲハ蝶まで…」と戦く楠木恋。



「夢野さん、アレさぁ全部なのかまだまだ来るのか知りたいんだけど」


そうは言っても夢野勇太は役立たず過ぎて話にならない。


だがここには頼りになる若い世代が多いわけで火使いの彼が「SNS使って空の写真とか貰えば?」と言ってくれたので「SNS君!それで行こう!」と呼んで名前もSNS君にした。


そして俺はここで初めて母さんと銘菓君の手で全国放送されていることを知り気が遠くなるが引くに引けないので「皆!写真を撮ったらハッシュタグ付けて撮影地の名前と一緒に投稿してくれ!大神さんはそれ見たら楠木ババアに回して!ババアは接近予測立てて!日影さんはそのサポート!」と声を張る。


俺の号令ではいまひとつ統制が取れないことに「くそっ!聖ジジイが居れば楽なのに」と悪態をついてから天を仰いで「ジジイ!あの世で見てやがれ!」と言って気合を入れる。



深呼吸をした俺は「母さん!手を貸して!」と言って手を前に出した。


「何するの?」

「威力とエネルギーは俺、鋭さなんかは母さん!合体攻撃!一気に正円状に風を飛ばしてインコと蝶々を風刃で切り刻む!」


「ふふふ。やれるなら素敵だわ。任せなさい!でも風刃は冬音に任せるわ」

「母さん?」


「風神の異名を見せてあげるわ!合わせなさい!」

母さんが巻き起こした竜巻に合わせて俺も風を重ねて更に風の刃も飛ばすとインコ共は軒並み切り刻まれて行く。


「冬音!そのまま豊さんの真似をして、ウグイスは風刃だと効率が悪いわ!」

「父さんね…。なら一気に焼き払うかな。SNS君!こっち来て!」


「SNSって俺?まあ良いけど」

「俺の火にSNS君の火を乗せて!」


俺の放つ火を見て納得したSNS君は火を放つと母さんの竜巻と合わさってアゲハ蝶もウグイスも焼けていく。


その内容に「やっぱり本職は違うね」と言った俺はそのまま楠木恋に「次は?」と聞く。



「空はひとまず終わり。次は足の速い奴らで。鋼鉄ダンゴムシとチワワだ」

「何分後?」


「8……10分だ!」


「よし!小夏!」

「10分ならカレーだよ!ナマステー!」


「カレーか!でも少し足りない!」

「ふふふふふ。唐揚げあるよ!後は宅配イーツで焼き鳥が来たよ!」


「カレー食いながら焼き鳥食べたい!」

「うん。アーンってしてあげるね」


俺は周りなんか気にせずにカレーを食べながら小夏に焼き鳥を食べさせて貰う。

周りの羨望の眼差しは俺たちのラブラブ具合を見て妬いているのかカレーの美味しい匂いのどちらかだろう。


「美味い!何この焼き鳥!」

「なんか地鶏のお店だって」


「母さん!今度ここ来たい!」

「いいわよ。でもチワワはまだしもダンゴムシだと風も火も相性悪いわよね?次は誰と代わるの?」


「風は使うけど夢野さんとおにぎり君。後は楠木ババアの脳みそに大活躍して貰うよ」


俺は楠木恋に化け物達の位置を把握させて計算をさせると巨大な氷柱をおにぎり君と生み出す。

そしてそれを夢野勇太と力を合わせて飛ばしてしまう。大群なので適当に撃っても当たるのが楽で良い。

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