コンビニ強盗

コンビニ強盗

「いらっしゃいませ」

「おい、金を出せ」

鋭利な刃物を若いコンビニ店員に突きつけ、男はこう脅した

「騒ぐな。騒ぐと殺すぞ」

「かしこまりました。袋はどうなさいますか？」

「袋？何言ってんだ、お前！」

「袋は1枚3円になりますが、どういたしますか？」

「んんっ･･･じゃ、袋にレジの金を入れろ！」

「かしこまりました。温めますか？」

「何言ってんだ！金を温める馬鹿がいるか！早くしろ！」

「かしこまりました。1000円札にしますか？10000円札にしますか？」

「うるせぇな。10000円だよ！早くしろよ！」

苛立つ男は鋭利な刃物を若いコンビニ店員の顔面に振りかざし始めた

「かしこまりました。Jポイントカードはお持ちですか？」

「はぁ？おちょくってんのか！早くしろ、馬鹿野郎！」

「かしこまりました」

「よし、それで全てだな。早く渡せ！」

「お客様。お客様は一昨日も隣町のT駅前店で強盗をしたお方ですね」

「！！　何言ってんだ！お前！」

「只今のお客様のお言葉を解析したところ、T駅前店での強盗犯との声紋が一致し　　　　　　　ました。従って当店のマニュアルに沿い、警察に通報しておりますので、少々お待ちください」

「何！！」

驚いた男の耳に、けたたましいパトカーのサイレンの音が鳴り響いた

「いや～、お手柄ですよ。素晴らしいですね、アンドロイド店員君は」

「はい。我が社は犯罪、防犯対策の一つとしてAIを組み入れたアンドロイド店員を各店舗に配置し始めております。今回のケースで途中、ちょっと不具合な応対がありましたので、そこを修正しつつ、今後も地域の防犯活動も兼ねて取り組んで行きたいと思っております」