第18章 ケルキラ『新』要塞攻略
第105話 本日のお昼ご飯
特に何か変わった事はなく、無事にお家に到着。
「ただいま」
挨拶を言い終わる前にラッキー君が飛びついてきた。
ここで受け方を間違えると石頭が顎にぶつかって無茶苦茶痛い思いをする。
実は既に2回直撃した。
目から火花が出るというのは実感としては隠喩では無いと思い知った。
なので直撃を避けるべく一歩後退し、両手で飛びかかってくるラッキー君をキャッチというか押さえ込む。
今回は無事痛い目にあわず押さえ込み成功。
ただこれだけ喜んでくれるというのが嬉しくない訳は無い。
だからラッキー君が着地したところで両手で思い切りよく撫でてやる。
うむ、大型犬は撫で甲斐があって良い。
「お帰りなさい。お昼ご飯が出来ていますけれど、どうしますか?」
「ありがとう。お願い」
全身に清浄魔法をかけた後、上着を脱いでアイテムボックスへ入れて食卓テーブルへ。
なおラッキー君は一足先にテーブル下へ陣取っている。
「今日はちょっと時間があったのでいつもと違うものを作ってみました」
そう言ってカリーナちゃんが出してくれたのは、なんとうどんだ。
丼に入って冷たいつゆがかかっている、いわゆるぶっかけうどん。
それに別皿で天ぷらが5種類。
内容は鶏天、ニンジン、何かわからない木の芽っぽいもの、キノコ2種類。
更に大根おろしまでついている。
「このうどん、カリーナが打ったの?」
「ええ。粉の種類のせいか少し黄色くなってしまいましたけれど」
「このつゆも?」
「昆布は無かったので魚とキノコの出汁です」
色が薄めの関西風かな、これは。
「いただきます」
早速食べてみる。
うん、つるつるしこしこ、更にこのつゆも美味しい。
ちょっと大根おろしを入れてみる。
うん、良きかな良きかな。
「美味しい。つゆもしっかり出汁がきいていて。でもこれも作るの大変だったんじゃない?」
「
うどんもそのページを見ながら作ってみました。あと醤油は輸入されているという設定があるのでお店で手に入ります。」
うん、美味しい。
ついうどんをつるつると食べてしまいそうになる。
天ぷらの存在を思い出し、まずはいかにもキノコって感じのものをつゆにつけて食べてみる。
歯ごたえと独特の香りがまたいい。
「このキノコも美味しい。なんて種類?」
「それはポルチーニ茸で、こっちはジロール茸って書いてありました」
どれどれ、もう一つの茸も食べてみる。
おっと、シャキシャキした歯ごたえでこれまたいい。
囓ると奥の方からどことなく甘い香りがするけれど、それも悪くない。
「ありがとう。お店で食べるよりずっと美味しい」
現実を含め、私がうどんを食べた覚えがある中では一番という気がする。
ちなみに比較対象は大学時代に友人と行った旅行先で1回、あと家族で何処かで食べた2回くらい、そして大学の学食。
だからサンプル数は少ないし店もいまいちかもしれないけれど。
「そこまでではないと思います。これもほとんどはWebページにあるのをそのまま作っただけですから。
あ、そう言えばミヤさん、午前中はお買い物に行ったんですか?」
おっと、カリーナちゃん、照れてる。
うむ、美少女が照れているのはやっぱり良い。
犬耳がぴくぴくしているのも高ポイントだ。
ただあまりじろじろ観察するのも申し訳無いし、カリーナちゃんに悪い。
だからまあ、カリーナちゃんが出した話題転換にのることにする。
「それについてはカリーナにお土産があるよ。ご飯を食べ終わってからだけれど」
「お土産ですか。何でしょう?」
「それはあとでのお楽しみという事で」
僕にはお土産はあるでしょうか?
それは食べ物でしょうか?
なら今すぐ貰えないでしょうか?
そう誰かさんがテーブル下でお座りして訴える。
「ラッキーのは今回なしだよ」
聞こえません! だから下さい!
お座りした姿勢で前足でトントンと床を叩いて訴える。
「ラッキーちゃんのは私達が食べ終わってからですよ」
さっとラッキー君がカリーナちゃんの方へ向きを変えた。
貰えるんですか! なら今すぐ下さい!
そう訴える。
「だめです。こっちが終わってから」
ぶすっ、ラッキー君がすねて伏せる。
勿論ただのポーズだ。
私達のご飯が終わってカリーナちゃんがらご飯を貰えば、直ちに回復するから気にする必要はない。
◇◇◇
うどんどんぶり1杯&天ぷら10個以上を完食してしまった。
ここが仮想世界で本当に良かった。
この調子でご飯を食べ続けたら間違いなく太る。
ラッキー君にカリーナちゃん特製フードをやった後。
「今の料理ほど手がこんでいないけれど、お土産」
カリーナちゃんに格闘術奥義皆伝を渡す。
「えっ、これって……まさか冒険者ギルドで、講習を受けてきたんですか? この時間で」
「1教科だけだけれどね。ついでだから
何でしょうかそれ、僕に関係ありますか?
そんな感じでのぞき込むラッキー君を撫でつつそう返答。
「槍術の本はもう持っているし、斧の本は無かったから。武器も神槍といつもの斧以上に良さそうなものは無かったし」
「でもいいんですか、こんな貴重品。まさかこの為だけに冒険者ギルドに行って、満点を狙ってきたって事は……」
実はその通りだ。
ただそれは言わぬが花という奴。
「テストプレイ前に
「なら……新要塞から帰ってきた後、お借りしていいですか?」
「カリーナが持っていて。私は格闘技を使わないから」
うんうん、なんやかんや言いつつ喜んではくれているようだ。
この本を手に入れてきて良かった。
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