第16章 ケルキラ旧要塞攻略⑵
第91話 レベル40の理由
あれこれカレンさんと話していたところで入口の扉が開く。
まさか追っ手かと一瞬心臓が波打った。
しかしすぐにカリーナちゃんの姿を確認、ほっとする。
ラッキー君がとことこ入口まで迎えに行った。
カリーナちゃんはラッキー君の頭をなでなでして、そして一緒にカウンターの方へ。
「失礼します。お久しぶりです」
「お久しぶりぃ。どぉ、調子は?」
「最近は楽しいです。あとまさかオブクラリスにあんな攻略法があるとは思いませんでした」
カリーナちゃんがそう感じてくれているなら、私としても嬉しい。
お世辞とか社交辞令ではない事を切に祈る。
「ミヤちゃんはいい意味でゲームの常識がないからね。良くも悪くもカリーナちゃんとは視点が違うから、新しく見えてくるものが多いでしょ」
「ええ」
ここ、2人の会話に微妙な気持ちになったりする。
常識がないというのは誉め言葉なのだろうか。
いい意味でとは言っているけれど。
「まあそれはそれとして、ミヤちゃん達のレベルは今、どのくらいまで行ったのかしらぁ。伝言は聞いていると思うけれど、どぉ?」
残念ながらレベル40はまだ遠い。
「まだ36です。ラッキーは38ですけれど」
しかしカレンさんはにっこり笑う。
「順調じゃないのぉ。この調子なら数日中にはレベル40は行くわねぇ」
そう言ってカレンさんはカウンターの下から長3くらいの封筒を取り出した。
「なら先にこれを渡しておくわ。次に私が此処へ来るまで半月かかっちゃうと思うからぁ。その前にはミヤちゃん達はレベル40をとっくに越えているだろうしねぇ」
カレンさんは封筒をカリーナちゃんに渡す。
「これは何でしょうか?」
「新マップへの招待状よぉ」
カレンさんはカリーナちゃんにそう返答し、そして続ける。
「新マップと言ってもまだ正規に公開されたものじゃないの。公開前の状態で、そこにテスターとしてプレイする事を依頼という形よぉ」
テスター?
「新マップで何をテストするんですか?」
カリーナちゃんが質問する。
「新マップの全般の『空気感』というようなものよぉ。
新マップは既にNPCや魔物、魔獣を配置してあるし、幾つかのクエストも実装済み。更にAI操作の疑似
ただ最後の、重要な確認がまだ終わっていないのぉ。実際の人間によるクオリア的なテストがぁ。
世界に対して自然に入りこめるか、違和感をおぼえないか、そういった感覚的な事を確認するのはやっぱり人間でないとねっ。
そんな訳でこちらのプレイヤーに協力して貰って、テストプレイをしているって訳♡」
なるほど、なんとなくだけど理解はした。
でもカリーナちゃんは更に質問をする。
「テストプレイはこのキャラクターをそのまま使用するという事でいいのでしょうか。あと装備やアイテム等は」
「勿論今のまま、全部持って行って貰って使う形よぉ。システムは
設定レベルは38から50、このスケリア島より少し上程度にしてあるわ。
まだデバッグモードが有効だから万が一のバグや事故でも死なない上、稼いだ経験値や資金はそのまま使用可能。だから損は無いと思うわよぉ」
なるほど、ゲーム的にテストプレイをやって損をする事はないようにしてある。
そう考えていい訳か。
カレンさんは更に説明を付け加える。
「テストプレイヤーの選任については
もちろん選ぶプレイヤーも1組2組ではないわ。現時点で合計で1,000人くらい選んで、テストプレイをして貰っているのぉ。正規公開まで内容を口外しないという約束でねっ。
あと細かい事はその封筒の中の書類に書いてあるわ。私も一通り読んで確認したけれど、今のカリーナやミヤちゃんにとっては悪くない経験になると思うわよぉ」
なるほど、でもそれならば。
「なら一度封筒の中の書類を読んで、それから参加するかどうか決めてもいいですか?」
「勿論よぉ。そこに入っているのは招待状で、受けるかどうかは渡されたプレイヤー自身が決める事だからぁ。ただ参加資格はレベル40以上だから、ミヤちゃんとラッキーちゃんがレベル40にならないと全員で参加はできないわよぉ」
つまりまだまだレベル上げはしなければならない、了解だ。
「わかりました。それでは読んで、ミヤさんと相談して決めたいと思います。ミヤさんもそれでいいですか?」
勿論だ。
「うん、それに新しい場所へ行くって旅行みたいで面白いじゃない」
そう言って、そして確認したい事を思いつく。
「ところでその新マップってどんな場所ですか? あとラッキーはNPCというか従魔だけれど大丈夫?」
「どんな場所かは行ってのお・た・の・し・み♪ あとラッキーちゃんはレベル40になっていれば問題ないわよ。従魔連れのテストも必要だしぃ」
ならこれで聞く事は概ね聞いたかなと思う。
あとは封筒に入っている書類を見ればいいだろう。
行くならその前にレベル上げをする必要があるけれど。
「わかりました」
「よろしくねっ。さて、それじゃもし薬草の手持ちがあったら買い取るけれど、どうする?」
そう言えば今日も旧要塞でそれなりに薬草を採取してきている。
色々と話をしたので忘れていたけれど、換金はしておこう。
「それじゃ換金お願いします」
私とカリーナちゃんはアイテムボックスから採取した薬草を取り出して並べていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます