第5話 ヨウカ2・忘れていた覚醒確認

「えっと、コスプレ装備の設定ですか?」

「ユウヤさん。コスプレとは何ですか?」

「コスプレは好きなアニメゲームなんかの格好を真似る事です」


「なんとなく分かりました。ユウヤさん、私が人間だと思っていますね?」

「そうですよ?」

「私の耳を触ってください」


 俺は横についた耳に触れる。


「おう!そ、そっちじゃないですよ」

「あ、きつね耳ですね」


「そうです。あふん!はひ!くすぐったいです」

「きつね耳が暖かい。耳の付け根も取れない」

「激しいのは!あん!」

「あの、耳を触っているだけですよ」

「敏感なんです」


「う、うん。リアルですね」

「ユウヤさん、信じてませんね?」

「半信半疑というか信じがたいというか」


「わ、分かました。尻尾の付け根を触って確かめてみてください」

「よ、ヨウカさん!?そ、それは完全にセクハラになってしまいますよ」

「セクハラとは何ですか?」


 俺はセクハラの説明をした。




「なるほど、恥ずかしいですが、それ以上に分かってほしいんです。やってください!」


 ヨウカさんは顔を赤くしながら俺にお尻を向けた。

 そして巫女服をたくし上げる。


 美人できつね耳のヨウカさんが恥じらいながら大きいお尻を俺に向けて来た。

 このコンボはまずい!

 体が熱くなっておかしくなってしまう。


「よ、ヨウカさん、男にそんな事をすると、あの、駄目です。エチエチなことをしたくなってきます」


「え?私に興奮してくれるんですか?」

「そりゃしますよ」

「きつね耳と尻尾が本物なのにですか?」

「関係なく興奮してしまいます」


「わあ、ありがとうございます」

「……え?」


「お母さんに聞いたのは、姿を見られた瞬間に矢が飛んでくるんだそうです。まるでモンスターのように追いかけ回されて本気で殺されそうになったと聞きました。好きになった男性に呼ばれて一緒にお茶を飲むと毒が盛られていて殺されかけたそうです」


 まるで妖怪扱いだな。


「ユウヤさん。私に触られても平気ですか?」


 ヨウカさんが俺の手を撫で回すように触って手を絡ませながら俺の目を見る。

 俺に顔を近づけてスンスンと匂いを嗅いだ。


「安全な場所に行ったら私とエチエチな事を出来ますか?」


 ヨウカさんの顔が近づいてくる。


「一緒に温泉に入って私がユウヤさんを洗って、寝る時も起きる時も一緒に隣で寝て1つになって私の体で気持ちよくなれますか?」

「ちょ、興奮してきます。そういう冗談は安全な場所に変える事が出来てから言いましょう」


「分かりました。ユウヤさんはやっぱりいい人です。私に敬語を使わないでください。私はいつも敬語ですけど、ユウヤさんは違いますよね」

「分かり、分かった」


「ユウヤさん、私を呼ぶときにさん付けもやめて欲しいです」

「ヨウカちゃん?」


 ヨウカさんは首を横に振った。


「ヨウカ君?」


 ヨウカさんは首を横に振った。


「ヨウカ?」

「それがいいです。ふふふふ」


 これは強烈だ。

 

 囁くような声。


 あの笑顔。


 あのバグったような距離感。


 抑えが効かなくなる。


「少し横になる」

「私も休みます」


 多分、モンスターが来ても気配で起きる事が出来る。

 そう思えた。

 ヨウカがいると興奮して、眠れない、すー、すー、すー。




 ◇




 ……熟睡していた。

 起きるとヨウカさんが俺に抱きついていた。

 体が柔らかい。

 後胸がはだけて見えそうだ。


「ヨウカ?」

「ううん、おはようございます」


 ヨウカはウトウトしながら座り込み、船をこぐ。

 朝が苦手なのかな?


 いや、疲れているのかもしれない。


 あ!


 俺のスキルを確認しよう。


 俺はステータスを開いた。




 ユウヤ 男

 ジョブ ????

 レベル ????

 体力  ????

 魔力  ????

 速力  ????

 スキル:『生活魔法』『バリア』『シールド』『セイバー』『ショット』『ホーミング』



 何となく分かっていたけどスキル枠が6つに増えて全部埋まっている。

 パンチを覚えたけど、枠不足でパンチの取得をあきらめた気がする。



「ヨウカ、ちょっとスキルを試してみるな」

「……はい」


「セイバー!」


 俺の手に魔法で成形した剣が出現する。

 両手で振り回す。

 うん、イメージ通りだ。

 バリア魔法の応用で魔力を物質化して剣に変える、そういうスキルか。

 

「モンスターを倒してくる」

「……はあい」


 俺は走ってモンスターを探した。

 見つからない。


 仕方がない。

 俺が壁を斬りつると切り傷がついた。

 これが一番攻撃力が高かった気がする。


 次はショットか。


「ショット!」


 手のひらを広げて壁に向けると野球ボールサイズの球体が壁に飛んでぶつかる。

 通路に撃つと、射程は10メートル程度か。


「ショット!」


 ショットが連続で発射された。

 連射もできる。


「ホーミング!」


 サッカーボールサイズの球体が俺の思った通りに動く。

 速度はショットより遅いけど、1分くらい持つか。


 連射は出来るのか?


「ホーミング!」


 3発目を出した瞬間に1発目が消える。

 同時使用は2発が限度で、それぞれオートでのホーミングが可能か。

 壁に向けて放つと壁を傷つけてもまだ壊れない。

 一発の威力はショットとそこまで変わらない。


 何となく分かって来た。


 俺は中距離タイプか。


「ユウヤさん、置いていかないでください」

「ヨウカ!胸を隠そう!」

「あう!」


 ヨウカは急いで巫女服を整えた。

 その動きにドキッとした。

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