おバズりになっておられました
「朝起きたら、おバズりになっておられました。マジで、映画の『竜そば』だな」
学校の裏庭で、加藤くんにスマホ画面を見せた。彼も目の前の現実にすぐ対応出来ないらしく、(多分)目を見開いて全世界から送られたメッセージを読んでいる。
『素晴らしい歌声だ!』
『一体、何者?声優の、鬼○明里?』
『絶対、顔も可愛らしいですよね?良ければ、一度お会いしませんか?』
「…あの…。ボク、女の子だと思われてます?」
「そうみてーだね。まぁ名前も名前だし、歌声がアレだしさ。でも、女の子っぽく思われるの嫌なんだっけ?やめといた方が良かった?」
「いえ…。そんなに、嫌な気分はしないです…。むしろ、こんな多くの人々に歌を聞いてもらえたのが嬉しい…。…あの、レオ君。昨日の事はすみませんでした。言い過ぎだったと、反省しています…」
「昨日?あぁ、罰ゲーム告白の返事だっけ?いいよ別に。オレの方が悪かったんだし。それよりさぁ。今更だけど、いいよ敬語とか。同い年なんだし、タメ口で話してよタメ口で」
「タメ…口…ですか…。それでは、慣れませんけれど…」
そう言って、加藤くんが微笑んだ。と同時に、春一番と言うのかいたずらな風さんが吹いて彼の前髪をなびかせた。そうして、ハッキリとオレの前でその笑顔を見せてくれた…。
「ありがとう。レオ君。二年生になって君と会えて、本当に良かった…」
あぁやっぱり、素顔もクッソ可愛いなぁ。何だろう、胸のドキドキが収まらない。今、ハッキリと気づいた。オレ、彼の事が好きだ…。
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