きっと素敵な受け子ちゃんが見つかるよ

 「…ボクの名前を、言ってみて下さい…」


 相変わらずとても小さな声ながら、はっきりとそのように答えた。何だ何だ。突然、北○の拳のジ○ギみたいな事言い出したぞ…?

 「え?名前?下の方?えーとその…。『ひとなり』?『じんせい』?オレも、読み方気になってたんだけど。えーと…どっちなの?」

 うん、俺も気になってた。しどろもどろに返事した彼に対し、加藤くんは突然ゴミでも見るような目をして(見えないけど、多分そう)冷たく言い放った。


 「やっぱりね。名前の読みも知らないんでしょう。先ほどから教室の真ん中で馬鹿騒ぎしているかと思ったら、いわゆる罰ゲームの告白ですか。大嫌いですよ、そう言うのは。人をコケにするのも、いい加減にして下さい。あ。あと、人の名前に上下の区別はありません。以上です」

 

 …小さいながらも、なかなか教室中によく響き渡るいい声だった。って言うか、大人しそうな外見して割と言う事ハッキリ言うね君。口数が極端に少ないってだけで、いわゆる「陰キャ」ではないよ君はきっと…。

 可愛そうに、一蹴されたレオ君はすごすごと教室の真ん中に帰っていった。呆気に取られていた陽キャ連中たちも、立ち直って彼に慰めの言葉をかける。おぉ、この展開は新しいな…。薄い本なら、「あんな風にオレを拒絶した奴は初めて…」とか言って逆に燃え上がるパターンかな?

 まぁでも君ほどの攻めなら、彼以外にもきっと素敵な受け子ちゃんが見つかるよ…。すっかりホモだと決めつけちゃったけど、まぁこれにめげずに頑張ってね。


 さてさて、俺は次回作の執筆に向けて忙しい…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る