第1話 あんな大層な話ではなく。

俺の名はかしわ 拍理ひょうり

高校3年生、受験?しないしない、めんどくさいからね。

それでオレの家は秋葉原にあるマンション、一人暮らしさ。

もちろん勉強も両立してるし、バイトも…まぁ、一応してる、うん。

それで…


「おい、柏!聞いているのか!」


おっと、先生にバレた。…そう!趣味は一人語りなのである!

だからって友達いないだろっていうのはナシね、オレちゃんといるから!


「皆も知っていると思うが、3年生を終えた時に皆は様々な進路がある!

一旦この下校時間でおさらいだが、大きく分けて2つある。

1つ目は進学だな!受験が控えていると思う、先生も辛かった!

2つ目は就職だな!これは皆が成りたいようになると良いと思う!

これは皆の進路調査表でちゃーんと、先生は把握しているからな!

ただし柏! お前はまだ出てないんだ、締め切りまですぐだから出せよ!

…ってとこだ!じゃあ皆!気を付けて帰れよ!」



あーあ。めんどくさ。五木いつき先生ってお節介上手なんだろうな。

とりあえず、進路。…進路ねぇ~。なんも考えてないからな…。


「またひょーちゃん深い顔してるね。」

「なんだよ、朝日奈。お前オレの顔でよくわかるな。」


こいつはオレの幼馴染、朝日奈あさひな ゆいだ。

小学校からのながぁーーーーーーーーい付き合いで、こいつもお節介モンスター。


「ひょーちゃん。進路どうするの?まだ決まってないんでしょ?」

「あ?あー…ま、まぁ!すぐに決まるって!オレならなんとか!」

「またそんなこと言って、優柔不断なんだから。

でも、ひょーちゃんらしいや。とりあえず帰ろ!」


朝日奈がオレの手を引っ張る、相変わらず元気でオレが疲れる。

でもまぁ、悪くない。これがずっと…ってわけでもないけど、続いてほしい。

オレは急いでリュックを用意して、朝日奈と一緒に下駄箱まで向かった。

そして、そっからは校門を通って小さい時からずっと馴染んだ帰路を通るんだ。

いつもの下校ルーティン、でもこれがいい。


「ひょーちゃん。まーたブツブツ言ってるね、好きだよねーホント。」

「えぇ?オレは…まぁ、その。無意識!無意識で言ってるからな!

…ホントだぞ!無意識の癖は治らないって言うだろ!な!」

「ふふっ。ひょーちゃんの言う通りだね。……うん。変わってない。」

「…朝日奈?どうしたんだ、らしくないぞ。」

「私さ、就職しようと思うんだ。‥‥いいでしょ?」

「しゅ、就職かぁ…。いや、朝日奈が決めたんだ、応援するわ!」

「ありがと、でもひょーちゃんも決めないとだよ?

五木先生も言ってたでしょ、速めにだせーって。」

「そ、そうだな。‥‥あーめんどくせー!進路ってマジでめんどくせー!」


これもいつも通りの風景。代わり映えしないっていうのが一番だよな。

そうして、オレは朝日奈と別れ、自分のマンションに帰ってきた。


「ん、ポストになんか入ってる?なんか入れるとこに箱がはみ出てるけど。

オレなんか頼んだっけな……でも、オレ宛て。

送り主は……ないのな。…なんだろうなこれ。開け……るか!」


そうして、教科書を4つ積んだほどの大きさの箱を部屋に持って帰り、箱を開けた。

中を開けてみたが、紙が一枚とその下に謎の箱が一つ。


「紙は…何も書いてないな。なんだこれ。間違えて入れたのか…?真っ白だし。

ってか、この箱なんだよ。ブラックボックス…ってやつ?えー…なんだよこれ。

あれか?だー…だー…だーくうぇぶ?ってとこ?…えー。オレ開いてないんだけど」


とりあえず、グチグチ言いながら開けてみた。

中身は……なんだこれ、ペンダント?緑の綺麗な石が入っている。

…母さんが間違えて送ったとかないよな。オレの趣味じゃねーし。


とりあえず、適当な所にペンダントを置いてオレはいつものように家事をして。

友達とゲームをする、今流行りの『ネイド・オンライン』をして。

そして寝落ちをして眠りにつく、明日は土曜だしこれくらい大丈夫でしょ。




――――深夜0時、ペンダントが光る。

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