第3話 あんあんあん、とっても大好き土左衛門

 最初の殺人事件を起こす直前の2013年1月、四条は傷害事件を起こして京都府警察に逮捕された前科があった。

「どーしょうもねーゴミだな」

 屋久杉を眺めながら残間は言った。

 

 6月3日午前11時

 現神は屋久島の西にある美術館の聖母子像を狙っていた。渡辺春江という女性とひかれあう。だが、春江の息子は現役の刑事だった。春江は石野陽子に似ていた。志村けんとよくコントをやってた。

 

 午後4時、残間たちは尾之間温泉にやって来た。

 世界遺産にも登録されている屋久島の、モッチョム岳の麓に温泉が存在する。共同浴場が温泉の中心である。共同浴場は足元自噴の湯船がある。屋久島登山の客の利用も多い。足湯も設置されている。


 当地にある旅館では、子宝の効能をうたい文句にしている。また、ここの温泉は、屋久島温泉へも引湯されていたが、現在、屋久島温泉は独自の泉源に変わった。

 ロッカーが不備だから貴重品は自分で管理しないといけない。


 残間は遂に40歳になった。彼女もいない寂しい誕生日。嵐山からおめでとうメールをもらった。去年もこんな感じだった。おふくろからもラインがあった。


 この温泉は約300年前に尾之間地区で発生した疫病退散を当地にある温泉神社に祈願したとあることから、開湯はそれ以前と考えられる。なお、このことは「尾之間棒踊り」という当地に伝わる祭りとして伝承されている。


 残間は温泉を出て、洞窟に向かった。洞窟から違う時代にタイムスリップ出来る。第四紀にタイムスリップして、森奥で身長3メートルのギガントピテクスってゴリラみたいな獣と遭遇した。襲われるかとビクビクして逃げたが、果物しか食べないようだ。最後にはパンダに負けて絶滅する。


 何とか元の時代に戻ってきた。

「どこ行ってたんだ?新たな殺しだ」と、竜崎。彼は酒に酔ってるのか顔が赤い。

 二人目の被害者は梅太だと残間は推理した。

 大川の滝にやってきた。

 落差は88m。鹿児島県道78号線の近くにあり海岸からも比較的近い。堆積岩が熱変成してできたホルンフェルスの岩盤を流れ落ちる。滝の近くには日本名水百選に選定されている大川湧水がある。

 土左衛門がプカプカ浮いていた。

「さくらんぼ!」

 野次馬の1人が叫んだ。

「牡蠣!声が大きいぞ!?」

 他の1人が窘める。

「あの土左衛門、西郷隆盛に似てますね?」と、残間は竜崎を見ながら言った。

「そうか? 牡蠣って人は『ひらり』で竜太先生の役やった人に似てるな?」

 

 6月4日、午後6時……龍臣は屋久島温泉にやってきた。湯そのものはサラサラした感じであるが、入浴して肌に触るとまるで石鹸をつけた体に触るようにぬるぬるした感触になる。

「ウィーアー、ダッダーン!ポヨヨン!ポヨヨン!」

 残間がアホなことをやっていた。

「こんなとこで会うなんて奇遇だな?」と、龍臣。

 龍臣は大声で『時の流れに身をまかせ』を歌った。

「宝石強盗団の奴の1人が殺された」

「そうなのか? 俺にはどうだっていいことだ」

 

 💀2 遠藤

 



 

 

 

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