第10話
三人が揃って勤務する次の金曜、開店準備しながら早速二人で観に行ったミュージカルの話で盛り上がっていた。
「そんなに悲しい話だったの?」観に行っていない絹が二人に聞くと花が
「そうなんですよ。私ももっと明るいエンタメってのを想像していたから。すごく重い話で、昔の外国の少年の恋愛の話なんですけど、それが二転三転して」
「初めてのミュージカルとしては微妙かもだけど、よかったですよ。さやかちゃんが好きな女優さんもとてもかわいかったし歌も上手かったな」
自分が褒められたような気恥しさか、さやかは顔を赤くしながら「でしょ」ととだけ答えた。
「観終わった後は国際通りのそばのお店でもつ煮とホッピーで乾杯して楽しかったな。絹さんも今度行きましょうよ」
「いいわね。飲むんなら私も電車で行かなきゃね」
このまま話続けそうな花に絹は「金曜だし、そろそろ看板に明かりつけましょうか」そう声をかけた。
開店少し前だったが、花は「はーい」といって店先に出ていった。
二人になったところで絹は「で、どうだったの」とさやかに声をかけた。
「楽しかったです。とても」
「・・・・・・でも何も言えなかったんですよ」
少し首を傾げてほほ笑む絹は、楽しかったなら良かったわ言ってとさやかの肩にポンと手を置き
「じゃー今日も頑張りましょう」
「はい」
「そうださやかちゃん、お金の両替してきてもらっていい?百円玉が少し足りなそうで」そういって絹はレジから三千円を出した。
「では行ってきます」そういって出ていくと、すれ違いに男性が店先に姿を見せた。
「吉住さんこんにちは。今日は早いですね。今開けますね」花はそう言って看板のコンセントを差した。
「絹さん、吉住さんご来店でーす」中に声をかけ、どうぞと言って吉住を席に案内した。
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