変化
ネルシア
変化
小学校の時、すごく仲のいい子がいた。
いつもそわそわしてて友達との輪に入れない子がいた。
「一緒に遊ぶ?」
話しかけられるとびくりとするが子くりと頷く。
それ以降、その子はずっと私の後ろに隠れながらもついてきた。
どんな時でも私の後ろに隠れるその子のことを愛おしく思った。
そこから私は同性愛なんだなと自覚したのを強く覚えている。
本当にどんな時でも私の後ろに隠れていた。
私がこの子を守らなきゃ。
でも、卒業する時に、その子は受験して私立の中学に行くことが決まっていた。
対して私は頭もよくなければ家も富豪というか、私立への理解を示さない一般家庭だった。
卒業式の後、2人きりで散歩した。
告白しようとも思ったが、出てきたのは、
「何かあったら連絡してね。」
という月並みな言葉だった。
記念にツーショットを撮り、再開できることを望んでスマホの待ち受けにし続けた。
最初のうちはこまめに連絡していたが、だんだんと連絡がなくなり、中学入って1年が経つ頃にはもうすっかり連絡しなくなってしまった。
そんなんで3年も過ぎ、高校入学。
地元の公立で中堅よりやや下くらい。
そうなると私からするとガラの良くない人たちも増えるわけで。
「・・・あれ?よっきー?」
ふいに見知らぬギャルに話しかけられる。
短すぎるスカートに、長すぎる爪、キラキラ装飾物に目がくらむ。
「えっと・・・。」
正直こんな知り合い思いつかない。
「あーしあーし!!わかんない?ほら、小学?の時で?一緒だった?」
若い子特有の疑問符が付く話し方。
ほんとに知らない・・・。
「やっぱわかんないよねー!!うきだよ!!」
「え・・・。」
あんな背中に隠れてた子がこんなになったのか・・・。
「あんときは地味だったっしょ?いい友達に出会えてさ~。今はハッピーww」
「そ、そう、よかったね。」
「よっきーは変わんないね!!友達来たからまたね~。」
ヒラヒラと手を振りながら同じような格好をした子達に向かってく。
「よくあんな真面目ちゃんに話しかけられんねww」
「聞こえるってwww」
「ウケるwwww」
そうか、そっか・・・。
そっかぁぁぁぁぁ・・・。
家に帰り、自分の部屋で自分が恋していたのは当時の、あの暗いうきだったことを痛感し、つーと涙がほほを伝う。
そして、スマホの待ち受け画面を今の友達と撮った写真に差し替える。
変化 ネルシア @rurine
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