#17

涙をこらえた同級生の顔が記憶に残った卒業式

周りに酔えない自分を呪った同日


錆びついた関係が続いている恋人との日々

自然消滅を迎えた病院のベッド

「別にあなたのせいではないわ。私が勝手にやったことだもの…」

拒絶の言葉とともに着信拒否


如実に浮かび上がる実力不足

稼いだお金の使い道を知らない若者

自分もその内の一人だと自覚させられる父の一言

苦肉の策で貯金に勤しむ


カーペットにこびり付いたあいつの匂い

遊覧船に乗り込んだ秋休み

自分の世界を疑う美術館

口を開けば冷たい視線が襲う

私語禁止の強制労働施設


ついに動きを止めた鮪

襲えない鯱

空気のような鮫

体積の少ない鯨


オートマチックな拳銃

強気なリボルバー

絶滅したはずの狼が山で観測される

鈴の音で人間の気配を感じた熊

過剰に反応しなくなった虫


古いレコードに文字化けした印刷

風呂掃除を簡略化させた道具達

物臭な現代人

歴史上の人物は呆れているか?

未来人は笑っているか?


羽ばたいた蝶のおかげで今日も生きているのかもしれない

あの日を越えて…

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