#12
パチパチと鳴り響いた拍手が残響している
頭を下げた奏者の笑い声が聞こえた気がした日曜日
振り返る客の意味深な涙
辛いラーメンの理由を知る正午
苦くて甘いキャンディーの後味がいつまでも口の中に残る
不機嫌な猫の目つきが気になった昨日
ベランダから差し込んだ日差しが顔に当たる早朝
プカプカと浮かぶ煙が目に飛び込むショーケース
バランスの取れないピエロの水玉模様
タトゥーを消した肌をなぞる
バカンスを見越した有給休暇
カラスがゴミを漁る未明
牛乳の匂いが染み込んだ雑巾
イヤホンから流れる不協和音
つかないライターの使用頻度を考える
必死で一位を取る学生の努力の数
意味深な言葉の意味を思う
なだらかなパスタの湯で時間は…
舵が切れない船に飛び込んだビー玉
寒暖差のサブイボ
老婆のくれたクッキー
見ないふりをしたハンカチーフ
人気のチョコレートが安売りされていたバレンタイン
貯金のない人間のギャンブル
うざったい雑音が脳裏にこびり付く
過充電のスマホが熱くなる
南風が吹いた窓の向こう
割れたグラスの値段を思い出す水曜日
二匹の猫の住処 木の上
逆さの鱗をキレイに撫でる
童貞の戯言を無視した二十二時
SEの友達が社長を務めるブラック企業
レフティーギターを素通りしたジャンク品店
振られた中学生の引きこもった理由を思わずにはいられない
寂しいとも感じられない独身男性の独り言
泣かなくなった独りの毎日
シャッターを開ける午前四時
今日も暗闇の中からのスタート…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。