#3

あの公園には大きな木がある

そこを訪れた彼はもういない


「消えてしまいたい」が彼の口癖だった

いつも失うことを恐れていた彼らしくない言葉だった


過去を吐き捨てろ 縋る必要のない栄光 未練や過ち…


あの家には大きなベッドがあった

いつも独りだった彼はもういない


「0か100だけが人生だ」と極論を口にしていた

彼らしい言葉が今も耳に残っている


冷たい青を撫でて熱がないことに気付く

その魂 その熱は今何処へ…


取り戻す旅は始まったばかり

行く先も宛もない最後の旅へ向けて


白い部屋で目覚めた彼はもういない

今も何処かで…

再会を願って筆を執るよ

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