偏性風

真自由

あれはいつ頃だっただろうか。

数年前だったような気もするし、昨日のことだったような気もする。

「本当の幸せを探す会」という組織がこの国でクーデターを起こし、政権を掌握した。

その組織は、憲法を改正しこのような項目を追加し、それ以外の項目を削除した。

奴らがつくったルールは一つ。

「自分自身が幸せになれることをすること」

それだけだ。

最初の2年はほとんど今までどうりの日常がおくられた。

次の3年目には、物の消費が急激に上昇し、この国の経済回復につながった。

4年目、ある事件がきっかけにおかしくなった。

とある学生が言った

「勉強するのは幸せになれません」

政府は学校の教師を大量に逮捕、学校を閉鎖した。

5年目、「あいつがいるから幸せになれない」誰かが言った。

たくさんの残酷な犯罪が横行した。

50年目、無法地帯になったこの国は今も存在している。

ただ私が言いたかったのは、こんなことが起きないようにしなければいけないということだ。

なあ、我が息子よ。

「ボクいま幸せじゃない」

何かが壊れる音がした。