私はいちばん私の事が嫌いである。

宮田水月

偽善

私は私が誰なのかよく分からなくなってきてしまった。

朝起きて気がつけば自分が私を罵倒していた。

1人だけのグループをメモのように私達は使っていた。そこに書き込まれていた。


いつも偽善して満足か。

どうせ人の目ばかり気にしてるんじゃない?

自分は優しい人だって。それは押付けだよ。


私が書いたものなのかよく分からなかった。

しかしながら私にもその感情は無い訳では無い。

自分は人に認められたくて仕方がなくて、人に甘えたくて仕方がない。

愛情に飢えている人間だと。


「無自覚に人を傷つけるの繰り返して学ばない?」

そうだ何度も何度も私は良かれと思ってかけた言葉が仇となる。

相手のことをもっと考えてから発言しないと失礼じゃないか。分かっている。


「傷つけてきた分今優しさで取り戻そうとしてる?気持ち悪いんだわ。偽善者。」

そうなのかもしれない。

私は私が作った穴を必死で埋めようとしている。

まるで真夜中に山で何かを隠すように。


「他人格に頼ろうとする前に自分で何とかしろ。辛い状況に助けてーなんて言って代わりになってくれるとでも?誰だって辛いのは嫌に決まってるのに自分だけ回避?何様?」

確かにそうだ。

元はと言えば私が受けるべき困難であり私が受けるべき罰であるのに他人に任せようとしている。辛いのになんで交代しないんだ、と。

考えてみれば当たり前じゃないか。これは私が解決しなくてはいけないもの。罪を他人に擦り付ける様なことはあってはならない。


「心配して欲しいとか考えてる時点でもう迷惑かけてるんだわ。そういうオーラ出さなくていいから。きもいって。自分のことは自分で世話しな?」

ああ、そうか。そう見える。心配されたいを全面的に出していると周りにいる方は疲れてしまう。何か話しかけないといけないかもしれないという気持ちにさせてしまう。

それは悪なのかもしれない。


私が私のことを悪く言ったのかまだよく分かっていない。

しかし私は私のことが嫌いだ。もしその嫌いの塊から生まれたのが貴方なら貴方は私をどうしたいの。

私は全てにおいて私のことを否定的に見ている。

私に価値がないと思っているからだ。

しかし私はそれを誰かに甘える手段だと思っているのではないか。自責を理由に甘えているのではないか。

君の言う通りかもしれない。私は偽善者で私のことしか考えていない。私は悪だ。

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