第4話
奈々、最後の日まで352日
「桐貞も見てよ」
「オマエのヘタレな歌か」
「誰がヘタレなうたじゃ〜っ!」
奈々が怒った。
「いいよ、歌ってみな」
海の水が
すべて ナミダでも
ワタシが あなたに
恋して 流した
ナミダには
絶対に かなわないわ
哀しみよ
ダミーに ならないで
古びた 贋作(がんさく)
燃やして 煖炉(だんろ)に
焚べる(くべる)わ
「ふーん」
「どうしたの?まだあんのよ」
「難しい漢字知ってんだな」
「そこっ!?」
奈々が大きな声を出した。
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