第210特殊部隊オンデューネ VRMMO戦記
デルタイオン
第1話 それは戦争である
VRMMO。
五感をフルに使い生成されたゲーム内で生きて戦い、冒険をして仲間を作りそして死ぬ。それがVRMMO。
そして、そのVRMMOのゲームコンテンツの中の1つにSFアクションFPSというジャンルのゲームがあった。
発売前からPVの自由度、解像度、目的、異色性。どれも凄まじい悪臭を放っており、好き物達がうじ虫のように湧いてきた。
そして、発売されると早速期待を裏切った。
五感機能は他のゲームの何倍も強力で失禁者が出るほど。
r-18バージョンのみの発売だったからか少々期待だけされていたが本当に実装された内蔵の再現。
推察だけされていたが本当にあった魔法技術。
そして、想像の何千倍もの広さのオープンワールドで行われる戦争。
ファンを裏切りファンに答えた。その結果VR経済との連携。VRMMO内初の国家樹立宣言。そして、戦争を生み出した。
今やこのVR内の戦争が経済源となり、傭兵と呼ばれる職業の復活を産んだ。
この青年もその傭兵の一人。
「あ、そういや今日講習だ」
だが、傭兵で食うには様々な壁がある。
絶対的な勝利。戦術を仕掛けられる程の数。今後の戦況の変化。アップデートで追加される兵器の利用価値。
このゲームは言わば頭脳型ギャンブル。
ギャンブルには何が必要だ?
スキル?運?
いいや、金だ。金が無ければ始まらない。
ゲーム内通貨というのがある。ゲーム内で働いて得る金だ。
だが、それならば現実で働いたほうが良い。現実通貨をゲーム内通貨に変換すると倍の価格になるからだ。
それに
交換の必要な消耗品のダイバーシュノーケル。
もしもの時のおむつ。
すぐに食べて戻れる栄誉補給食。
眠気覚ましのエナジードリンク。
緊急離脱後の点滴など、VRMMOはやるだけでも金が掛かる。
それにVRMMO内で得た金は全て貯金か弾薬費、燃料費、税金で搾り取られる。
なのでこうして今日も現実で生きるのだ。
「行ってきます」
そう言い家を出る。
マンションの階段を降り、バスに揺られ、電車に揺られやってきたのは大学。
時代が進んでもこの登校する学生の姿は変わらないだろう。
VR技術が発展しても。
経済が安定しても。
宇宙開拓が始まっても。
必ずここには行かなければならない……
「これって一種の呪いなのでは?注射しただけで覚えられるやつとか開発されないかなぁ……」
まあそんな事言っても始まらないし終わらない。
なんなら始まっても終わりまでは終わらない。
始まりと終わりは同じと言うが、消費した時間は違うのだ。
寝れば同じだが。
まあ、残念だがこれは一種の通過儀礼。
大人になる階段を登ると思い行くしかない。
ちなみに行かなくても良いと言う言葉は信じないほうが良い。翻訳すると「行くか、殺されるか。どっちが良い?」だからな。
「空いてる席は……あそこか」
端っこの席に座り退屈をしのぎ、そして帰りにバイトに寄る。
うむ。今日もいつも通りだな。
だが、今日はアップデートの日!!
早く帰ってVR起動させたい!!
「隣、良い?」
「ん?ああ、どうぞ」
なんか興奮してたら隣に美少女来たんだけど。空いて……るよな。なんでわざわざこっちに?
「…………」
「…………」
ま、いっか。教科書とノート。ファイルにスマホ。ヨシ!
「音楽、聴くの?」
「え、ああ」
「何、聴くの?」
「えっと……なんか気に入ったやつ。ジャンルとかはわからない」
「そう」
「……………」
「……………」
え、なに?
え、え??え?????
な、なんだったんだ?
世間話……か?今どきそんな大学生居るか?
ま、まあいいや。単純に興味湧いたんだろう。
………興味!?
え?もしかして俺に興味湧いたのか!?
え!?マジですか!?俺モテ期来た!?
マジで!?こんな美少女から興味向けられるとかキタわこれ!!
ヤッベ〜……俺汗臭く無いか!?姿勢は!?
もしかしてこの後誘われたりしちゃったり!?キャーーー!!
しなかったわ。
あんなに興奮してた俺キモい……死にたい……
はぁ〜〜〜〜……マジでやったかもしれん。客観的に見ても隣に美少女来て突然意識しだしたオタクだもんまじ最悪。
もうヤダバイト早く終わらせて帰る。いえかえる!!
「あ、先輩。ちょっとあそこの品出しお願いします」
「アッハイ」
は〜……今日マジで最悪だわ。まあ、あとちょっとだし、頑張るかぁ……
「あ、先輩。レジお願いします」
「アッハイ」
あ〜この客うぜ〜。ポイントカード一つで良いだろ。後ろの客めっちゃ苛ついてるんだけど。はぁ……
「あ、先輩。ゴミ出しお願いします」
「アッハイ」
クソ重!?クソ店長め……貯めに貯めたな?
「あ、先輩。肩もみお願いします」
「アッハイ」
俺も休みたいんだが……はぁ……
「あ、先輩」
「今日なんかめっちゃ多くない?」
「そうですか?」
「あれ?そう思ってるの俺だけ?え、マジで?」
「まあまあ先輩落ち着いて。とりあえず一緒に帰りましょ」
「え?でも反対方向じゃん」
「いいからいいから」
「ん〜……」
でも今日アップデートあるんだよなぁ……
「ごめん!!また今度!!それじゃ!!」
「あ………クソ」
逃げ帰るように実際に家へ帰り。VRを起動する。
「この時を待ってんだ!!」
そして、VRを装着しゲームをスタートさせた。
『ようこそオンデューネ。オムニへログインします』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます