第9話 ヴァーミリオン村誕生
レイスと話した翌日の朝、俺は旧悪徳領主の領民や部下たちを広場に集めた。
「みんな。今の俺たちは住む地を得た。だが、それだけでは、いずれ、近隣の討伐軍や異民族の脅威はなくなるわけではない。だから、俺たちはここを拠点と定め、防備を増していく必要がある。」
皆が真剣な表情でうなずく。
続けて俺は言う。
「まず、今後の方針だが、俺たちは防備を固めた後、隣村の旧ヴァーミリオン領を奪還していく。この中の半数以上は、ヴァーミリオン公国の遺児たちだろう。俺たちと故郷を取り戻して、ヴァーミリオン公国を復興するんだ!」
「おおおおおおおおおおおお!」
一斉に村人たちが歓声をあげる。
よしよし、ここまではレイスの計算通りだ。
「そのためには、みんなの協力が必要だ。」
「もちろん!我々は領主様と運命を共にします。」
「我らはこの命、主様に捧げます。」
歓声の勢いは増した。
「まず、この村の名前を新たに名づけることとする。この地より、ヴァーミリオンは復興するから、ヴァーミリオン村とする。」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!一生ついていくぜ!兄貴!」
「主様!」
村人たちは皆涙ぐんでいる。
「俺たちは決して、私欲のために動くのではない。俺たちは弱き民のために立ち上がるんだ!」
こうして、王国東部にヴァーミリオン村が誕生した。
演説の後、俺は領主館の会議室に、ヤスエ、レイス、村の長老と俺の弟子たちを呼んだ。
「さて、これからの方針は先ほど、話した通りだ。だが、具体策がまだない。そこで、お前たちの意見が聞きたい。」
「村の防備であれば、壁を作る必要があります。だが、ここには石材が不足している。」
「では、土壁というのはどうだ?幸い、ここは土や木材は豊富にある。まず、外堀を作り、その土で堀の内側に丘を作る。そうだな。なるべく、傾斜はあった方がいいな。」
「さすが、ヤスエ様ですな。確かに、土ならばそれがかないましょう。」
「だが、土だけでは雨で崩れる恐れもありますのじゃ。」
「では、丸太を組み合わせて、丘の周りを覆うというのはどうでしょうか?」
皆、レイスの案に賛成する。その後、俺たちの本格的な防衛工事が始まった。
2か月後、俺たちは村の周囲をとりかこむようにした堀と土の城壁の作成に成功した。
堀には近くの川から水を引き、堀を水で満たすことに成功した。
この村の入り口には跳ね橋を設置することで、敵襲に備える。
村中のみんなのおかげで、そこら辺の村ではありえないような、要塞が完成した。
とりあえず、これで急な敵襲に焦らなくてすみそうだ。ヤスエも最近、村人に護身術と称して、暗殺術を教えている。
なんか、村人がますます怖くなってきた。
ヴァーミリオン村は武闘派集団になりそうです。
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