実家から追放された元デブニート、やがて伝説となる
ただ仁太郎
第一章 追放と開拓編
第1話 追放されました
春は恋の季節だなんてみんな言うから、俺は勇気をだしてみた。
「セリカちゃん!好きです!結婚してください!」
冬が明け、穏やかな陽気の春の広場で、ずっと好きだった村長の娘に告白した。
「・・・・・・」
彼女は顔を赤らめ、下を向き、沈黙する。
顔を上げた刹那、彼女は俺に背を向け、走り去ってしまった。
「完全にフラれた。はぁ~。」
気落ちしながら、歩いていると、呼吸が荒くなってきた。少し動くとすぐに息がきれる。これだから、デブは嫌なんだ。
「はあ はあ はあ」
疲れた体を休めるためにベンチに座っていると背後から、声が聞こえた。
「坊ちゃん、どうしたんです?こんなところで?」
振り向くと、俺の舎弟のステファンがそこにいた。彼は我が家に仕える騎士の息子だ。
「なんだ。お前か。」
「ちょ!ひどくないですか?まあ、それはさておき、どうしたんです?元気だけが取り柄の坊ちゃんの数少ない長所が台無しですよ。」
「うるせえ!まあ、でも、お前だったら話してもいいか。」
そうして、俺は事の顛末をステファンに伝えた。
「そういうことだったんですね。まあ、元気出してくださいよ。初恋は実らないってうちの親父もいってましたから。」
「あのなあ」
「そうだ!こんな日には酒と女遊びですよ!この前、かわいい子がいる店見つけたんですよ。」
俺は何かの欲望に導かれるまま、ステファンのおすすめの店へと向かった。
「まあ!男爵家の坊ちゃんじゃありませんか?」
「マスター、かわいい子を頼む。」
それから、俺は時を忘れて楽しんだ。ステファンと店で別れ、帰路についた。
ベッドにダイブし、意識を飛ばした。
目覚めると、昼になっていた。
「頭痛いな。完全に二日酔だよ~。」
そんなことをつぶやきながら、自室に隠してある大人な本(オアシス)へと手を伸ばした刹那、ドアが開いた。
「フリスト!今日でお前を追放する。今すぐ、荷物をまとめて、出ていけ!」
「父上、それはないよ!俺はどうやって生きていけばいいの?」
「お前は自分に恥ずかしくないのか?お前の兄二人は立派に国に貢献しているというのに、お前は食うだけのただのデブで、おまけに女遊びに
「そんな~」
翌日、俺は庶民の生活費一か月分を手渡され、家を追い出された。ちなみに、ステファンはついてこなかった。なんでも、彼は彼で、我が家の騎士団にきっちり、しごかれているらしい。
「はぁ~。これからどうしよ。」
行く当てもないが、とりあえず、太陽にむかって、歩き出した。
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