怪奇!オカルト倶楽部!

ポロポロ五月雨

エレベーターの天井鏡Part1


ある所の中学校で 廃屋、神社、禁足地 学生特有の余りに余った体力をよりにもよってホラーに費やす男たちがいた。 『怪奇!ホラー倶楽部』 良い名前だと思わんかね。


「ちょっとぉおお、約束と違うじゃないスかぁ、、、」

「ダメったらダメ! ホラー倶楽部は今月で閉鎖よ」


『怪奇!ホラー倶楽部』 最終回 ~Fin~


「ちゃんと部としての活動が確認出来たら存続だって、、、」

「そうね、言ったわね。それで? その部の活動記録として貴方が持ってきたのは何だったかしら?」

生徒会の頭でっかち女メガネが机の写真を鋭く見下す

「、、、オーブの写真です」


オーブ 写真にたまに写ったりする光の玉。魂とか言われたりする


「ほーん、オーブね。私にゃ光るホコリにしか見えないけど」

「あ、じゃあ光るホコリってことで!それでも十分ホラーじゃないスか!?『怪奇!光るホコリの謎!』なんて、、、」

「、、、今月の30日までに荷物をまとめておくこと、Do you understand?」

うっざ

「はい、、、了解っス」

「フンッ!」

ガラララララ! バタンッ!! メガネ女は勢いよく扉を閉めて部屋から出て行ってしまった。


「、、、はぁ~~~」

近くにあった椅子にヘナヘナ座り込む

「どーしよ」

「馬鹿野郎!諦めんじゃねーよ!!」

ガンッ!! 部屋の掃除道具箱がいきなり開き、中から人間が飛び出してくる

「うわぁああああああ!?」

我ながら情けなくひっくり返り、近くにあった長めの定規を武器として振り回す


「ははは!落ち着けよぉ、俺だよ杉下(スギシタ)だよぉ」

「あ、、、なんだ。『アホ杉』か」

そこに居たのは我がホラー倶楽部の数少ない同胞でもありクラスメートでもありテスト勉強しない同盟でもある杉下、通称『アホ杉』が立っていた。


「江崎ィ。お前やっぱリアクション良い!俺と芸人になろ」

江崎(エザキ)は俺の名前

「馬鹿!俺は大人になっても幽霊を探すんだい」

「あはは!幽霊なんて居ないぞ!」

「ぐ、、、」

このホラー倶楽部、在籍している人はチラホラと居るんだがほとんどが幽霊部員であり挙句の果て来てるメンバーも大半が幽霊を信じていないという欠陥部活でもある。ほな何でこの部活入ったんや 


再び「はぁ~」と椅子に腰を下ろす。

「我が部設立以来、最大の危機だ」

「はは。んまぁこの部無くなんのは寂しいわなぁ」

アホ杉は歴代の活動記録ノートが連ねてある棚に目を流し、珍しくしんみりとした空気を出す


「先輩達にも申し訳ね」

「う、、、」

卒業するとき俺の手に涙を落としながら「大変だと思うが受け継いでくれ」と その時の先輩の顔が浮かんでは消えずに心に沁みつく


「、、、ダメだ。ダメダメ終わらすなんて絶対ダメ」

俺は膝をパーン!!と叩き勢いよく立ち上がる

「部活は残す!何としてでも」

決意の咆哮を廊下に漏れない程度の大声で叫んだところでアホ杉も

「よぉし、よく言ったぁ!その言葉を待ってたんだ!!」

机をドッ!!とブッ叩きその拳を天に掲げる。その声は間違いなく廊下どころかこのフロア全域にまで響き渡ったことだろう。


「よし!そうと決まればアイツの力が要る。アホ杉」

「おう、アイツなぁ。この時間ならバスケ部の練習だろう」

「バスケ部か、、、いや、思い立ったが吉日。今すぐ現場に急行だ!!」

「おぉいえぇーーす!!!」

俺達は部室のドアをぶっきらぼうに開け放ち、打ち出されたように体育館に向けて走り出した。



~体育館~

「はぁ、、、はぁ。おい、居たか?アイツは」

一足先に体育館ドアから中を覗くアホ杉に声を掛ける

「江崎。お前足遅すぎ、ちゃんと運動しろぉ」

「お前が速すぎなんだよ。フィジカルモンスター」

俺も身を乗り出して体育館を覗く。中ではバスケ部以外にもバレー部やらが練習を行っており、体育館内は若者のエネルギッシュな気迫で満ちていた。こういうのを見ると同い年にも関わらず俺の気分はおじいちゃんである。

そしてそのエネルギー中に一段と頑張りと気合を見せ、傍から見ても『熱い奴』と分かる男がいた。


「あ、居た。夏日だ」

夏日(ナツビ) 俺の幼馴染で小学校まで仲が良かったのだが中学に入り、奴がバスケ部に入ったことにより何となくね。ほら、言いたいことわかるでしょ?何か、、、レベルがね。合わなくなって。そんでこっちから行きづらくなって関係性がうやむやになっている奴だ。

しかし向こうは俺のことをしっかり友達と思ってくれているらしくオカルト倶楽部にも部籍だけ置いてくれている。ありがたい、俺にも奴と同じ位のコミュ力があれば親友にだってなれたんだろうなぁ。まぁ在り得ない世界線だが、、、

「今ちょうど休憩時間ぽいぞ、行くなら今じゃね?」

「あ、うーん。アホ杉頼む行ってきて」

「はぁ!?」

いざ体育館内のオーラを感じ取り臆する俺

「うまいこと説明して来てくれ、頼む!」

手をパンッ!と合わせて頭の上に持ってくる

「お前にしかできないことなんだ!!」

「お、俺にしか、、、」

アホ杉はその言葉に気分を良くしたようで「任せろ」と親指をクイッと立てて体育館の中に駆けて行った。

その姿を見送ると俺はソッと体育館の壁に腰を掛ける。

助かった。アホ杉はアホ故にオーラとか空気ってもんが全く読めない、関係あるかは分からないけど昔に心霊スポットに行った時も一人だけ何も感じて無かったし霊感も薄いのかもしれない。

故にこういう場でも人目を気にせずガンガン行くことが出来るのだ。


「ふ~。上手い事やってくれたかな」

しばらくしてチラッと体育館内を見る。が

「あれ?居ない」

体育館中どこを探しても2人が居ない。

「え。なっ、何で、、、」


「うわぁああああああああ!!!江崎ィイイイ!!!」

後ろから大声で叫ばれながら背中を『パシィン!!』と叩かれる。

「うぉああああぁぁぁぁああああ!!!??」

そしてその大声に負けず劣らずのビビり声を辺りに拡散する俺

「うっはっは!江崎ぃ。ナーイスリアクション」

振り返ると同時にアホ杉の胸ぐらを掴み怒鳴り散らしながら体を揺らそうとするが体幹が強いアホ杉はマジで全然揺れない。『ぐぬぬ、コイツめ』 そんな風にミニコントをやっていると


「おいおい江崎。そこら辺にしとけって」

ふとかけられた聞き覚えのある声に思わず手が止まる。

「な、夏日、、、」

そこに居たのはさっきまでバスケをやっていたからか肌に薄っすら汗がにじむ夏日の姿だった。もう随分と、久しぶりに話すな 幼馴染なのに

「よぉ、最後いつぶりよ?だいぶ前に廃ビル行ったときとか?」

「うん、そんぐらいかもな」

「あん時江崎ビビりまくってたよな~。縮み上がってたぜ」

「そ、そんなことないわい!」

場にアホ杉がいることもあってか比較的昔みたいに会話が出来てる、これなら、、、


「あのさ、夏日。今度また心霊スポット行こうと思ってんだけど」

「心霊スポット?」

夏日が腕を組んで、首をかしげる

「そう、そんで付いてきて欲しいなって。あ、もちろん暇だったらで」

「いつだ?」

「あ、えっと、、、今度の土曜日とか?」

正直まだ決めて無かったが急いで考えてとっさに出す。

「土曜日、、、いいよ。問題無しだ」

「! い、行先とか決まったらまた連絡するから、それまで待ってて」

「おう! 楽しみにしてるぜ。そんじゃ俺また練習戻るから」

夏日はそう言うとニコッと笑ってまた体育館の中に戻って行った。


「、、、はぁ~~~」

思わず息を大きく吐く

「なんだ?江崎、どうした?」

「お前、何で連れてきた、、、」

「え?いやぁ話したらお前に会いたいっていうからさぁ」

む、、、夏日が言ったんなら責められまい、か

「、、、ありがとう。話してくれて」

「ははっ、おうおう当たり前だろうが。さぁ、次は情報が必要だろ? アイツの所にも行っとこう」

「よし、分かった」俺は吐いた分の息を思い切り吸うと次の『情報屋』が居るところへと向かった。

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