ちこの日記

毘紐天 ちこ

第1話  母の覚悟

あ〜

あと1ヶ月もすれば全てから解放される、、そう、あと1ヶ月の辛抱、受験が終わるまでの。

そう自分に言い聞かせながら、今朝も朝早く起きては朝食に息子のお弁当作り、愛犬の散歩、と慌ただしい日常に追われる。

こうして朝の9:00迄があっという間に過ぎていく、本来なら、この時間には息子は学校行き、誰も居ない家でホッとひと息、ティータイム、、なはずなのに。。

リビングのソファーには大きなトドのような塊が、、、ソファーを埋め尽くす。。

そう、この大きなトドは朝食を食べた後、再び寝落ちした。

幾日こんな日を過ごしただろう。。馬鹿な私はいつもこのトドに騙される。  

  

私 「明日は何時に起こせばいい?」            

トド「いつも通り」

私 「ちゃんと起きてくれるよね⁉️」

トド「わかってるって」

前日の夜にはいつも大体こんな感じで約束するのに…

トドとの約束は破られる為にあるのか、守られる事の方が少ない。


こんないい加減な息子、どうすればいいのか?普通な事が出来ない、この先、大丈夫なのか様々な不安を抱えながらここまでやってきた。

私には、やりたい放題のこの息子が理解出来ず、ちょっと許せない。

許せないのは、息子の性格を見抜けなかった自身にもある。


元夫はDVの気質がある人だった。些細な事でカッとなり、瞬間湯沸かし器の如くDVへと発展する。一度沸点に達するとなかなか温度は下がらない。時に暴力にもなる。この悪環境から必死に息子を守ってきたつもりだ。学校での問題が起きた時も言えず仕舞いだった。何故なら私自身も元夫を恐れていたからだ。荒れ狂う元夫が本当に怖かった。それと同時に息子に手を挙げる姿を見るのが本当に辛かった。それを避けるために私が取った手段、それは悪い情報を元夫に入れない事だった。

問題を起こしても、父親に叱られる事がないと分かった息子は調子に乗ってその後も同じような事を繰り返した。私が息子を守る為にしてきた事を彼は悪用し始めた。父親には届かない、という安心が彼の緊張を緩ませ、甘えが助長したのだ。


私が取ってきた行動が正しかった訳ではないと思う、でもその時はそうする事が精一杯だった。甘えの助長のツケは息子の成長を遅らせた。その責任が私にもある。受験が終わっても、闘いはまだ暫く続く、今はその覚悟も出来た。息子の目論見に乗らない自分、屈しない自分になるのだ!!

息子に負けてなるものか。やっとまともな母親になれるか、これからの自分にかかっている。。


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