君のいる場所へ

あの日から、1年が過ぎた。

私はいつものように学校が終わると、いつもの場所へ向かう。


君のいる病院へ。



あの日、先生は告げた。

亮が、交通事故にあったこと。

命に別状はないこと。

でも、意識が戻らないこと。


なぜ、意識が戻らないのかは、先生がなにかいってたけど、あまり覚えていない。


あのときはそれぐらい動揺してた。


亮の意識が戻らなくなって、一年。


私はいつものように、静かに横たわる君の隣でいつものようにたわいもない話をする。


君が返事をしてくれるのを待ちながら…


「ねぇ、亮。いつになったら、あのときの言葉聞かせてくれるのかな?」


私はそう言いながら、彼の手を握った。



でも、今日も手を握り返されることはなかった。


それでも、明日も、次の日も、君に会いに来るから。


君のこと信じてるから。

待ってるから。


だから、君が目覚めたら私に教えてね。


あのとき、君が言いたかったこと。

絶対に聞くから。


だから、君もそのときは聞いて。

私の返事も…





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