待ってる

香崎 莉愛

変わらない

空が青く澄みわたる今日、私は高校二年生になった。

うちの学校は進級してもクラスも担任も変わらない。

教室をあければいつものように皆がいる。

「おはよー、奈々。」

いつものように親友に声をかけられる。

「うん。おはよー、結衣。」

そういって、受け答えて、そこから、席につくと下らない話をする。


そして、授業が始まる。

いつものように、気だるげになりながらも、必死に頑張っている親友を見ながら、私は眠気と格闘する。

そして、負ける。

いつものように担任のゆっちゃん、たたき起こされる。

みんながいつものようにそれを見て笑う。

そこには当たり前の日常があった。


だから、なんにも変わっていない。


いや、そんなの嘘でしかない。


一つだけ決定的に変わってしまったことがある。


それに誰もが忘れたふりをする。


いや、実際忘れてしまったのかも知れない。


私だけが覚えているだけなのかも知れない。


教室の私の席の後ろ。


一番奥の窓際の席。


そこがぽっかり空いてしまっているのも。


いつものような、大きな声で挨拶をしてはじけた笑顔をみせた人がいたことも。


後ろでゲームをしてるのがばれて、めちゃくちゃ怒られた人がいたことも。


私が恋をした相手も。



すべては、私の幻想で、夢だったのかもしれない。


もしかしたら、現実にその人がいても、ただの赤の他人だったり、なにかのドッキリだったりするのかもしれない。




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