ケモ耳メイドとの休息の一時

御厨カイト

ケモ耳メイドとの休息の一時


「ご主人様、お庭のお掃除終了致しました」


「そうか、いつもご苦労様」


「いえ、それが私の仕事ですから」



凛とした姿勢でそう言う彼女。



「いやいや、シズクはいつも本当によくやってくれているよ。ありがとう」


「そんな……お褒め頂けて嬉しいです」



キリッとしている顔なのに、モフモフの耳がピョコピョコと動いている所が可愛い。



「それじゃ、そろそろ俺も休憩にしようかな」


「それでしたら、お紅茶でもお入れしましょうか?」


「うーん、それでも良いんだけど……おいで」



俺は座っている椅子を引いて、膝をポンポンと叩く。


「あっ……」


その俺の行動を察したのか、彼女は近づいてきて俺の膝へポスッと座る。



「じゃあ、尻尾のブラッシングでもしてあげようかね」


「……ありがとうございます」


俺は彼女のふわふわな尻尾をゆっくりと櫛で梳いていく。

彼女の尻尾はふわふわなだけじゃなくて、温かいため触っているだけで幸せになる。

疲れが溶けていく。


そして、俺が手を動かすたびに彼女の尻尾の先がユラユラと揺れる。


「どうだい?気持ち良いかい?」


「はい、ご主人様のブラッシングはこの世のものの中で一番気持ち良いです」


「ハハハ、そこまで言ってくれるとは嬉しいね。働き者のメイドさんはちゃんと労わってあげなきゃ」


「それ、いつも仰いますけど、私はただ自分の仕事をしているだけですし……」


「シズクがそう思っていることでも、俺は凄く助かっているんだよ。もうシズクがいない時には戻れないね」


「確かに、私が初めてこのお館に来た時って、本当に凄い有様でしたですもんね……」



あの時の事を思い出しているのか、彼女は感情の無い目で乾いた笑いをする。



「だからこそ、シズクが来てくれて本当に良かった」


ブラッシングする櫛を置いて、俺は彼女の頭を撫でる。

ゆっくり、ゆっくりと撫でていく。


「本当に、本当にお前は良いメイドだ」


「ご、ご主人様~……」


頭を撫でられるのに弱いのか、少し甘えるような声を出してくる彼女。

その反応の可愛さに、俺は頭だけじゃなくて耳もフニフニと触る。


本当にモフモフしていて気持ちが良い。



彼女も嬉しいのか恥ずかしいのか、ぶんぶんと尻尾が揺れている。



そうして、俺は時が流れるのを忘れるぐらい彼女から癒し成分を補給するのだった。








********







「あ、あの、ご、ご主人様……?ま、まだ私、仕事が残っておりますので……」


「あぁ、ごめんごめん。あまりにもシズクが可愛いからずっと撫でてしまったよ」


「そ、そんな可愛いだなんて……。……いや、そうじゃなくてですね、もう休憩の時間はお終いでございます。私もやることがありますが、ご主人様もまだお仕事が残っておられるのでしょう?」


「まぁ、そうだな。少し急ぎの仕事が1件」


「それなら尚更ちゃんとして頂かなければ!という訳で休憩はお終い!私は仕事に戻ります」


「はいはい、分かったよ。ちゃんとやります」


「はい、それでよろしい。それでは私は失礼いたします」


「うん、ありがとね」



そう言い、彼女は一礼してこの部屋から去っていく。

そんな彼女の様子を見送りながら、俺は溜まっている仕事を進めていくのだった。






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ケモ耳メイドとの休息の一時 御厨カイト @mikuriya777

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