第7話 天……使……さん……。

「天……使……さん……んんっ……」


 ゆっくりと体を起こすと、見慣れた自分の部屋を見渡した。


 あれ……? 俺、いつ寝たんだっけ……?


 というか、『天使さん』ってなんだ?


「…………っ」


 よくは思い出せないけど。


 いい夢を見ていたような気がする……。





「天使……さん……」





 もう一度、呟いた瞬間、胸の奥がドキッと高鳴った気がした。


 おかしい……。



 もしかして、早く起きたからか……?


「うーん……」


 考えてもわからないし、とりあえず、顔を洗って目を覚まそう。


 それから、台所で顔を洗った後、プロテインバーを片手にテレビをぼーっと眺めていた。


(占いは……おっ、一位いちいだっ)


 今日は、なにかいいことがあるのかもしれない。


 そんなことを思いながら、ふと壁にある時計に目を向けた。


「そろそろ、着替えよっかな……」


 ……。


 …………。


 ………………。


 玄関で靴を履き終えると、俺はふと右手を見た。


 起きるまで、誰かが手を握ってくれていたような……そんな気がする。





『梨久くんっ♪』





「――えっ」


 玄関を見渡しても、誰の姿もない。


 当たり前だ。 


 だって、この部屋にいるのは、俺だけなのだから。


 朝から幻聴 なんて……。


「やっぱり、今日もサボ――」


 それ以上の言葉は出てこなかった。


 無言のまま扉を見つめていると、ドアノブに手を掛けた。


 自分でもわからないけど。


 なんだか、今日なら――…行けそうな気がする。


「……ふっ」


 ガチャリ。





 ――――行ってきますっ。

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腹ペコ天使さんとお腹を満たすだけっ。 白野さーど @hakuya3rd

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