闇に叫べ!10 鷲宮殺人事件
鷹山トシキ
第1話
硴塚龍臣 名探偵
硴塚桜 医師&官能小説家
残間
呂宋 龍臣の助手
菜奈 マウンテンバイクで冒険
竜崎 盗難事件の被害者
嵐山 怪盗
竜崎が古物商で購入した年代物の書き物机が、その翌日には盗難されてしまう。これに端を発して、嵐山と彼の「女友達」である金髪の婦人、朝倉和子にまつわる事件が続く。和子は財前直見に似ている。
いずれの事件でも、残間刑事の堅固な包囲にかかわらず、嵐山と和子は決して脱出不可能なはずの状況下で姿を消してしまう。
一連の事件の中で歴史的価値も高い青ダイヤを盗まれた佐伯夫妻によって、東京から名探偵の硴塚龍臣が招聘される。夫の佐伯高弘は陣内孝則、妻の夏子は膳場貴子に似ている。
龍臣は当初は嵐山の数々の妨害によって二の足を踏み、盟友の呂宋も重傷を負わされてしまう。
しかし、嵐山が姿を消した家がすべて同じ建築家の手になることに気付いた龍臣は、この建築家に助手として働いていた龍臣が、自分のために数々の秘密のからくりをこれらの家屋に施していたことを見破り、ついには龍臣の最大のアジトをつきとめる。
これに対して嵐山も先手を打って、龍臣を拉致し、貨物トラックに閉じ込めて送り返す。龍臣が不在のうちにアジトから撤退しようとした嵐山だったが、龍臣は彼の思惑を見破って鷲宮に戻って来てしまう。
龍臣の活躍で嵐山は逮捕を受けることになる。
しかし、警察の意表をついて脱走を果たした嵐山は、鷲宮駅で好敵手、龍臣に対して別れの挨拶を果たすのだった。
ニートの菜奈は鷲宮をマウンテンバイクで散策していた。関東平野のほぼ中央部に位置し、低地が中心の地形である。東武伊勢崎線が南東部から北西部へと縦断し、JR東北本線(宇都宮線)が南北を縦断する。また、東北新幹線が東部を通過する。町の面積は埼玉県内で3番目に狭かった。
菜奈は宝泉寺池にやって来た。埼玉県久喜市に所在する池である。名前は当池の付近に存在した宝泉寺(廃寺)に因む。
1704年(宝永元年)7月の関東洪水によって形成された洪水洗掘の池である。また、かつては利根川の流路の一部を成していた。かつては、南北に216m、東西119mの水面を有していたが、現在、広さは南北に200m、東西100m程であり、埋め立てなどにより湖面はかつてより狭くなった。現在、宝泉寺池は釣り場として親しまれている。
菜奈はブルーギルを釣った。
鷲宮に住む、ガッツ石松に似てる富豪、長谷川雅紀から、東京の龍臣に依頼が届く。それとほぼ同時に嵐山からも、“貴殿の名誉に関わる事態に必ず発展するから、近日中に入るであろう長谷川の依頼は受けないよう衷心よりご忠告申し上げる”という内容の書簡もとどいた。この忠告を「挑発」とみなした龍臣はすぐさま呂宋とともに鷲宮へ出立する。
長谷川の依頼は、徳川家の行灯の盗難事件の解明だった。長谷川邸につくや、龍臣は現場に残された数々の証拠がまったくの偽装であり、窃盗は内部犯行であることをいちはやく見抜く。
嵐山は事件の真相を追う龍臣に次々と謎をかけ、彼を翻弄するが、龍臣はそんな嵐山の言葉の端々に手がかりをみつけ、ついには行灯を長谷川邸から持ち出した犯人にたどり着く。それは、長谷川の奥さん、靖子だ。靖子は銀粉蝶に似ている。
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