第二章 アクア
序文 水の街 アクア
「しみったれた街だな。」
これが、僕がアクアに描いた第1の印象だった。帝国南部最大の都市にして帝国3位の巨大都市セイレーンから、徒歩で4日の距離にあるセイレーン公爵領アクア。セイレーンから、セイレーン山脈、グリフィン山脈を迂回して大回りで進む為120キロ位の距離となるが、直線距離では、20キロに満たず、ドラゴンで行けば30分で着くアリア様が治める港町。人口2千人、アクア湾の最も内陸部にある港町で巨大迷宮アクア第1迷宮を有してる。セイレーン山脈か無ければ、巨大都市にもなり得た街だった。
アリア様が出発してから1週間。アリア様が出発まで狩りまくったモンスター達のドロップアイテムをプレース商会に売り払い、魔石を白き薔薇団に受渡し、失踪したメイドのクソソソさんの後任も採用し、召喚獣達のレベルアップ、進化させて、事務をスレインさんにお願いして、本来本部となるこの街に来た。今回は視察目的だ。
ここは、港町だが、活気は殆ど無かった。港に停泊いる船は、小型船が3隻、中型船が1隻程で、セイレーンから2日の距離にあるバルザック王国との国境の港町バーモンドと比べると天地の差だ。
「お兄さん、冒険者さんかな?アクア第1迷宮目当てかな?今日泊まる宿決まってるの?うちの宿とまってかない?」
ショートヘアでソバカスが可愛らしさを醸し出している少女が声をかけて来た。
「いや、冒険者クランのアクアに寄らないと行けないんだ。」
「そーかー。冒険者さんだもんね。アクアってアリア様のクランでしょ。」
そう言うと、目が厳しく、辛そうな顔になった。
「アリア様嫌いなの?」
「嫌いっていうか、5年前にアリア様に代わった時に、代官として着たドボルベードが最悪で、税は上げるわ、無罪の人を次々と捕まえるわ、怪しい奴らが出入りしますわ、昔はまだ少しは活気があったけど、今は殆ど逃げ出して、」
そう言うと、少女は、泣き出した。
「代官が悪いなら、アリア様も悪いんだよ。嫌ったってしょうがないよ。事実ならアリア様に文句言ってやろうぜ。」
「えっ、そんなことしたら、捕まっちゃうよ。」
「今日は、君の宿に泊まるよ。」
「ほんと?あそこの宿だから、ごめん泣いたから泊まってくれたんだよね。」
「いや違うんだ。多分、泊まらないといけないんだと思うんだ。」
「ありがとう。」
「ところで、クランの拠点の場所知らない?」
「あー。お役所の隣だから、この道まっすぐだよ。」
「ありがとう。」
そう言って、1000ゴールド渡した。
「何?」
「宿代の先払いだよ。部屋押さえといてね。」
そう言って、少女と分かれて教えて貰ったクランの拠点に向かった。
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