第8話 気の緩み

 次の朝、セイレーン第11迷宮に向かった。プチカウがいる迷宮だ。


「はーい。冒険者学校の生徒は1階までしか潜れません。もし潜ったことがわかった場合、成果から200体分マイナスさせていただきますのでご留意ください。入場料は、20ゴールドになります。注意してお入りください。」


 と、受付の方の説明を受け20ゴールドを渡した。迷宮の入口に入ろうとすると


「アレックスくん?」

「へ?」


 透き通った声に呼び止められ後ろを向くと、2人の美少女が立っていた。


「スノーさん。アリア様。」

「アレックスくん。何でスノーだけさん付けで、私は様付け?同級生なのに。」

「スノー、無理よ、あなた貴族の中の貴族なんだから、」

「えー。でもスノーは、」

「私はいいの。」


 と、美少女同士の掛け合いを観ていると、心を持ってかれる様だ。


「で、アレックスくん、ロッシくんと一緒じゃないの?」

「あぁ。ロッシとは別行動で、僕は迷宮で色々訓練を。」

「そうなんだ~自主練なんて凄いね。」

「ありがとう。」


 スノーさんに言われると照れてしまう。可愛すぎるぞー。


「そうだ、アレックスくん、2位まで上昇おめでとう。初日の夕食のとき、なんか考え事していてたみたいだから、心配しちゃった。」

「えっ、スノーさんが僕の為に心配なんて、ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます。」


 と、頭を下げまくると、


「そんなに、恥ずかしいわよ。頭上げて、同級生なんだから、えへ。」


 超絶可愛い笑顔に、キューンときてしまった。


「でも、なんか吹っ切れたみたいね。」

「はい。おかげさまで。」

「スノー、そろそろ行きましょう。」

「アリアそうね、邪魔になってるしね。じゃあね。」


 そういうと、スノーさんと、アリア様はとんでもないスピードで去っていった。スノーさん僕のこと見ていてくれたんだ。と、心をキュンキュンしながら、今日も召喚獣のレベルアップと、アイテム集めをはじめた。


「サモン・・・。」


 うし吉の回復が無い中だが、ウサ吉、ゴブ吉と僕の体力が異常に高くなっているので、回復無く余裕でいつものペースを越えて集め、16132体までいった。


「終ろう。はーはーはー。」


 流石に疲れた僕は、うし吉のレベルをあげた、召喚獣のレベルを確認すると


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角獣族 一角ウサギ レベル118

スライム族 スライム レベル20

家畜族 プチカウ レベル182

ゴブリン族 ゴブリン レベル178

死霊族 スケルトン レベル19

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 うし吉も途轍もなく強くなっていた。他のドロップも、今週潜った時に得たきのみで能力を10づつまであげたが、余っていた。今回も使うものが無く、


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ノーマル 魔石レベル1× 16132

レア 忘れな草 100束× 16132

スーパーレア 土の魔石 レベル10× 16132

スキル 腕力のきのみ 1粒× 16132

アイテム プチカウの肉1体分× 16132

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と莫大な量集まっていた。その中でも忘れな草は、狂おし草を1束づつ叩いて潰し、レベル1の魔石1粒、水100mlの割合で1日以上漬けて、濾すと下級ポーションの一つである、忘狂液と呼ばれる魔法液ができる。この魔法液をベースに多くのポーションができるので、別名魔礎液と言われている。魔力が劣化を防いでくれるので230リットル樽に2000束づつ入れて、レベル1の魔石2000粒相当の魔石を入れて、水200リットル入れたものが数個づつ冒険者学校や、冒険者ギルド等に常備されている。この魔石を属性魔石にすると属性の魔法液になり、それぞれの属性に応じたポーションの原料になっている。迷宮だけでなく、魔力が強い森でも取れるポピュラーな薬草として有名なもので、ギルド買取価格で1束2ゴールド程度、市場価格で4ゴールド、忘狂液100ml瓶の市場価格は20ゴールド程度で、浅い傷や軽い骨折であれば治すことができる。骨まで達する位の深い傷や、粉砕骨折、臓器へのダメージ、切断等は程度に応じて中級以上のポーションが必要となる。魔法でも治せるが、回復系魔法を使える魔法使いは少なく、初級魔法で初級ポーション程度、それぞれの魔法のレベルと、ポーションのレベルがあっており、中級回復魔法を使えるのは、冒険者学校ではアリア様しかいなかった。


「素材は、入手し易いし、卒業したら薬師の勉強でもしようかな。」


 そう言いつつ、帰っていった。

 


 次の朝、セイリューン第12迷宮に向かった。スライムがいる迷宮だ。


「はーい。冒険者学校の生徒は1階までしか潜れません。もし潜ったことがわかった場合、成果から200体分マイナスさせていただきますのでご留意ください。入場料は、20ゴールドになります。注意してお入りください。」


 と、受付の方の説明を受け20ゴールドを渡した。今日は何事なく召喚獣のレベルアップと、アイテム集めが出来、結果は、召喚獣が、


------------------------------------------------------

角獣族 一角ウサギ レベル119

スライム族 スライム レベル178

家畜族 プチカウ レベル182

ゴブリン族 ゴブリン レベル178

死霊族 スケルトン レベル21

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で、ドロップが、


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ノーマル 魔石レベル1 ×15621

レア 狂おし草100束 ×15621

スーパーレア 水の魔石 レベル10 ×15621

スキル 魅力のきのみ 1粒 ×15621

アイテム スライムの肉1体分 ×15621

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だった。全部売れば遊んで暮らせるだけの資金になるくらいドロップは入手したが、何故かわからないが、それではいけない気がした。


 宿舎に戻ると瓶を持ち、顔を真っ赤にしたロッシが待っていた。


「アレックス、こんな時間まで、くんりぇんきゃー?」

「どうしたロッシ?」


 とロッシに近寄ると明らかに酒臭い。一応法律では飲酒規制されていないが、子供の飲酒は推奨されておらず、貴族も嗜む程度で、上級貴族は、飲酒後数千ゴールドもする解毒薬で酒を抜いているという。


「マーヤちゃんが、かっこいいって、いってくれて、うっ」

「おいおい」


 その後は小一時間サイクルするマーヤちゃんの可愛さ話に付き合って寝かせた。


 翌日は二日酔いかロッシは明らかに精彩を欠いていた、翌日以降も精彩を欠いた日が続き、僕がほぼ1人でモンスターを倒していったが当然倒す数は減少し、 11日目211体、12日目51体、13日目49体、14日目44体、15日目51体。5日間で406体。先週までの858体を加えると1264体。ノルマは達成したが3位に陥落した。

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