レベルアップ神になったので、推しの子を贔屓してみた

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レベルアップ神になったので、推しの子を贔屓してみた【1話完結】

 俺はなぜか神様になった。


 勇者パーティの経験値を計算し、そのレベルを管理する神様だ。


 なぜそうなったのかはよくわからないが、家でゲームをしていたらいきなりトラックが突っ込んできて、目が覚めたら神様になっていた。



 神様なので雲の上で仕事するのかと思いきや、普通の、だけど超だだっ広いオフィスだ。ただし人間界にあるわけではなく、もちろん神界にある。


 一つのフロアに何千という同じ仕事の神様がいて、黙々とそれぞれ担当の勇者パーティを監視している。


 神様どうしの会話なんてほとんどない。


 昼間は蛍光灯を全部つけるとほかの神様から電気代がもったいないと苦情がくるので暗く、夜は皓々と明かりをつけて夜遅くまで頑張って残業アピールをすることが大切らしい。


 はっきり言って鬱になっても仕方ない職場だ。


 それでも業務内容は至って簡単なのに給料は結構いいので、心は病んでもやめようという神様はなかなかいない。ただ、ほとんどの神様の目が死んでいるのはある意味すごいと思う。


 まあ、人間時代の職場もこんな感じだったか。



 監視対象の勇者パーティがモンスターを倒すと経験値が入るのだが、誰かが一定の経験値に達したら、「てれれってってー♪」と音を鳴らし、レベルを1つ上げて、HPやMPとかステータスの値を上げていく。


 場合によっては魔法とか特技を覚えさせる。


 それだけの仕事だ。


 だけど、勇者パーティにとってレベルアップは死活問題なわけだから、決して手は抜けない。俺はこの仕事に誇りをもつようになった。



 俺が担当する勇者パーティは、勇者(♂)、魔法使い(♂)、僧侶(♀)、盗賊(♀)、占い師(♀)、武闘家(♀)、剣士(♂)、遊び人(♂)の八人からなり、魔王ハバネ・ジョロキーアを倒すべくレベルアップと謎解きの冒険の旅をしている。


 かれこれ三ケ月彼らの冒険を監視している。


 生死をかけた戦いを潜り抜けて仲間としての絆は深まっているが、場合によっては野宿だってするのに、男女関係が発展する気配は全くなかった。


「先輩、これってこんなもんなんすか?」


 隣の席の先輩神様に聞いてみたが、「そんなもんじゃね?」とぼそっとこっちを見るでもなく答えてきた。


「つまんねぇっすね。……おら、やれよ。そこ、こそっとベッドの中に入っちゃってさ。おら、やっちまえ、やっちまえ」



 そんなことをぶつくさ言いながら監視して一年、あるできごとがあった。


 僧侶の女の子が、賢者に転職したのだ。


 同時におかっぱから、ロングのちょっとだけ縦ロールの入った髪型に変わったのだ。


 そもそもこのパーティの女の子たちはみんなかわいかった。


 だけど、急に垢抜けてしまった賢者に俺はもうメロメロになってしまった。


 それだけじゃないんだ。


 それは街の防具屋でのできごとだ。


「おい、あの『いけない水着』ってなんだ?」


「おう、いらっしゃい。あれは女性専用の防具でさ。露出度が高いくせに、めちゃめちゃ防御力が高いんですぜ」


「なんだと? それはすごいな」


「値段も結構なものですがね」


「うお、これはかなりのものだな」


 とくに男たちは欲しがっているようなのだが、値段もさることながらコンプライアンス的に躊躇うところがあるようだった。


「しかし、賢者さんはクラスチェンジしてレベルが下がってしまいましたから、いま防御力が低うございます。いい装備をつけることでできるだけダメージを受けないようにしてさしあげるのがよろしいかと」


 占い師の女の子が提案したことで、パーティの中の意見は瞬時にまとまった。


 というわけで、かわいい賢者ちゃんが『いけない水着』を装備することになった。


「あわわわわ……、本当にこれじゃないといけないんですか?」


 この子は僧侶時代からちょっと気弱で引っ込み思案なところがあって、とても恥ずかしそうにしていた。


「…………」


 だけど男たちはそこまで盛り上がってなかった。なぜならばものすごい露出度なのに、彼女の胸はかなりのぺったんこだったからだ。


 俺だってでっかい胸のほうが好きだけど、このガキどもは太もものよさまではわかってないらしい。


 ちなみに仲間の女の子たちは、恥ずかしそうに街を歩く賢者を見てニヤニヤしていた。


 うわ、なんかそういう意味でいけないものを見てしまったかも。


 頑張れ賢者ちゃん、俺がついてるからな!



「賢者ちゃん、お願い! 治癒魔法を!」


「ごめんなさい! もうMPが!」


「え?」


「俺に任せろ! 治癒魔法Lv. 4!!」


 戦闘中に賢者ちゃんのMPがなくなって仲間がピンチになりかけた。


 彼女は僧侶時代に治癒魔法Lv. 5まで覚えたが、転職によってMPが減ってしまったので現在では満タンでも二回しか使えない。


「ちょっと、なんとか倒せたからよかったものの、しっかりしてよね!」


 武闘家の女の子が文句を言う。


 なんか最近、ギスギスしてきたなぁ。


 そもそも八人いて治癒魔法が使えるのが勇者と賢者ちゃんの二人しかいないというパーティ編成がおかしいと思うのだが。


 傷を治してくれる薬草も準備してなかったし、だいたい今のレベルであんなモンスターと戦う方が間違ってるよ。


「ごめんなさい、頑張ります」


 ああ、絶対周りのほうが間違ってるのに、健気な賢者ちゃんは謝ってる。


 よーし、じゃあ俺が賢者ちゃんを助けてあげよう。



 俺は賢者ちゃんのレベルアップの際のステータスの上昇値を増やしてあげることにした。ついでにレベルアップにまで必要な経験値は少なくしちゃおう。


 てれれってってー♪


 てれれってってー♪


 何度かレベルアップすると賢者ちゃんはあっという間にパーティの治癒係として使えるようになった。



「おや、あの防具屋で売ってるのは『メタモルキングの鎧』だぞ。めっちゃ高いけど防御力は最強クラスだ。買おうぜ、買おうぜ」


 モンスターを倒すとなぜかお金も入るのだが、この段階での彼らは腐るほどのお金をもっていた。ちなみにお金はとても重いので、彼らはキャッシュカードを使っている。


 というわけでとくに躊躇するわけもなく装備できる者は全員がそれを装備した。


「じゃあ、私も……」


「いいえ、賢者様が身に着けておられる『いけない水着』は、キャプ・ダグドという町に住む聖なる水着職人によって『メタモルキングの鎧』よりもさらに強力な防具になります」


 占い師は占いでそのことを知ったらしく、その街へ行って聖なる水着職人に大枚をはたいて『いけない水着(改)』にランクアップさせた。


 ますます露出が大きくなって賢者ちゃんはますます恥ずかしい思いをすることになったのだが、防御力は『メタモルキングの鎧』の三倍というぶっ飛び性能だった。


「…………」


 しかし、ぺったんこおっぱいのせいでセクシーさはいまいちだった。


 くっそー、だったらこうしてやる!



 俺は、賢者ちゃんがレベルアップするごとにバストが大きくなるようにステータスの変化量をいじくった。


 てれれってってー♪


 てれれってってー♪


「あわわわわ……、見ないでくださぁい!」


 レベルアップするごとにパーティの男の目線がいやらしくなり、賢者以外の女の子の目に殺意がこもるようになってきた。


 おいおい、このパーティ大丈夫かな。



「あー、私の防具のブラがない!」


 それは宿屋での朝のことだった。


 賢者ちゃんの『いけない水着(改)』の上半身の装備が盗まれたのだ。


「何ということだ。いったい誰がこんなことを!」


「許せん!」


 男たちは怒っていたが、なぜか期待に頬を赤くしていた。


 そして、なぜか視線はある一人に向かっていた。


「と……盗賊?」


「な、なんでウチが疑われるんじゃ! なんでウチが仲間の防具を盗まにゃいかんの

じゃ! ちょっと、剣士~!」


 盗賊は剣士に駆け寄った。


「おいおい、確かにこいつは盗賊だが、盗むのはモンスターのアイテムだけだぜ。それはみんなもわかってるだろ。仲間を疑うだなんて、これから俺たちは魔王を倒そうってのに……そっちの方がよっぽど信じられないぜ」


 いや、俺は監視していたから知っている。


 盗んだのは盗賊だ。


 そしてもっと知っている。


 最近になって盗賊と剣士がデキてしまったことも。


 二年近くそういう方面で何事もなかったパーティなのに、その均衡が突然崩れたのだ。


 いずれも劣らぬ美女だっただけにこれまでは暗黙の不可侵条約のようなものができていたのだが、もはやそんな体裁は効果を失っていたのだ。


 なぜ?



 それは賢者ちゃんの胸が大きくなりだしたからだ。


 太もものよさがわからない彼らもこの頃から『いけない水着(改)』の魅力にはまり始めていた。


 だけど、これまでがこれまでだったがゆえに……いや、自分たちの背負う使命の重さゆえにということにしておこう。彼らはこれまでの関係を保とうとした。


 だがある夜、リッチになったがゆえに宿屋でそれぞれに個室を取った時、盗賊は剣士の部屋に忍び込み、既成事実をつくってそのハートを盗んだ。そして、剣士に賢者の悪口を吹き込んだ。


 俺は盗賊の往生際の悪さを反吐が出る思いで見ていたが、ついにはばれて盗賊と剣士はパーティ内不和を起こした咎で追い出されることになった。



 六人になってしまったことでどうなることやらと思われた勇者パーティだが、その後は存外順調に冒険を進めていた。


 一番の理由は俺が設定変更したことで賢者ちゃんのレベルがサクサク上がり、ぶっちゃけ賢者ちゃんさえいればどうにでもなるようになったからだ。


 俺は喜んだ。


 賢者ちゃんがチートをかますほど、彼女が輝いていたからだ。


 ほんとね、きらきらしててかわいいんだよ!! うへへへへへ。



 それでもパーティが苦戦するようになってきた。


 なぜならば賢者ちゃんがみんなを追い抜いてレベル上限にまで達してしまったからだ。成長しないからそれ以上強くならない。


 仕方ないのでみんなの設定もいじくってすぐにレベルが上がるようにしたんだけど、全員がレベル上限になっても魔王に近づくにつれ必ずしも楽勝というわけにはいかなくなった。


 どうすればいいんだ。


 その答えはすぐに出た。


 レベルがもっと上がるようにしよう。


 そんで、もっとすごい魔法とか特技も覚えられるようにしよう。


 俺は隣の先輩に気づかれないようにちょこちょこっと設定をいじった。


 こんなことしたら罰せられるとか教わってないけど、この陰湿なオフィスの空気感が無言の圧力をかけてくる。ちょっとびびってしまったせいもあるけど、やっぱり愛する賢者ちゃんに活躍してほしいのでいじるのは賢者ちゃんだけ。


 だって、俺が見たいのは彼女の輝く姿だけだから。


 贔屓していいのはやっぱり彼女だけなのだ。



 おや、デスクをよく見るといろいろと改造できるコードがあるじゃないか。


「頑張れ!」


 パーティに対して神様からメッセージが送れるようにしたぞ。


「は! これは神様からのお告げなのでしょうか! 頑張ります!」


 なんと賢者ちゃんは俺のメッセージを受けて応えてくれたのだ!


 そこからはザクザクとモンスターたちを抹殺していき、飽和状態にある中で彼女だけがバンバン強くなっていった。



 そして賢者ちゃんはレベル9999999999999999になった。


 ほかの子はレベル99なのに。


「よし、魔王の部屋はその扉の先だ! 頑張れ!」


「ああ、神様のお声が聞こえる! 頑張ります、神様!」


 うひょひょひょひょ!


「頑張ろう、賢者!」


 そこへ声をかけてきたのは勇者だった。


 何度も死にかけては賢者ちゃんに治癒されて蘇った程度の軟弱な男なのに、えらくアピールしてきやがる。


「魔王を倒すんだ!」


 魔法使いも決意の言葉を発した。


 お前レベルの魔法じゃもうモンスターに致命傷を与えられなくなってるのによく言うな。


 勇者と魔法使いは賢者にかっこいいところを見せようと猛アピールだ。


「ジェラシーは女の美しさを台無しにしちまうよ」


 遊び人は甘ったるく口ずさみながら、武闘家と占い師の女の子のお尻を触る。


「も、もう! やめなさいよ!」


「なんて下劣な男!」


 そう言いながらも、遊び人が女の子たちの嫉妬心をうまく拭い去ってくれたおかげ

でこのパーティはなんとか瓦解せずにやってきた。陰の功労者だ。


 こんな感じなので、ぶっちゃけ魔王なんて賢者ちゃんだけいればいいから勇者と魔法使いはいらないなー、なんて俺は思い始めていた。



「くっくっくっくっく……ついに来おったか、勇者よ」


 そして魔王ハバネ・ジョロキーアとついに対峙することになった。


「勇者よ、なにゆえもふもふともがき、生きるのか? 滅びこそわがうれしみ、死にゆくものこそビューティフォー。さあ、わが腕の中で、息絶えるがよい!」


 うっ、どっかで聞いたことのある台詞を敢えてダサくして決めてきた。


「くらえ! 火炎魔法Lv. 6!!」


 魔法使いはいきなり魔法を放った。


 しかし、「カン!」という音と共にそのまま跳ね返ってきた。


「なんだと!? うぎゃあああああああああ!!」


 そのまま自らの炎で焼き尽くされて死んだ。


「魔法反射だ!」


「最初からかかっているなんて!」


「よく見てください。魔王の身体は『闇の衣』で覆われています。あれは魔法を弾き返し、物理攻撃も半分以下になってしまいます!」


「なんということだ!」


「賢者、あの『闇の衣』は何とかできないのか?」


「解析します。だけど、時間がかかりそうです」


 そもそも賢者はそんなの解析できる設定ではなかったのだが、チート能力として俺が勝手につけてあげたのだ。


 おかげで冒険の旅ははかどったわけだが、本来なら道中で手に入れる『光のたまたま』というアイテムを取っておけば一発で解決できた問題だった。



 ぴこーん。


 そのとき、俺のデスクのほうにメールが届いた。


 おや、今月の給料じゃないか。


「なにいぃぃぃぃ!!!」


 き、給料がめっちゃ下がってる! なんで?


 明細をよく見ると『課金 1,340,000円』とあった。


 うわあああ! 俺が賢者ちゃんにチートで付与したあれこれの能力は有料で、俺の給料から天引きされていたのだ。


 やべえ。賢者ちゃんが好きすぎて、あちこちのフィギュア職人に特別モデルを五〇体ばかり発注しちまった。これじゃあ代金払えねえ、借金生活だ!


「くっそー!! 仕方ねえ、せめて魔王をやっつけてくれ!」



「うぎゃああああああああああ!!!」


 魔王がオーロラ・カプサイシン・アタックというダサい技を繰り出してきた。しかし名前はさておき、『闇の衣』をまとった状態でのこの攻撃はとんでもなかった。


 占い師と武闘家が身を挺して遊び人をかばったが、遊び人もろとも焼き尽くされて死んだ。勇者も賢者をかばったが死んだ。賢者ちゃんだけが人外レベルのHPなので死ななかった。


 おいおい、レベルカンストしてこれだけやられるって、どういうことだよ。


「うわー、なんてことだ。だけど賢者ちゃんならきっとやれるはず!!」


「は! 神様!」


「頑張るんだ、賢者ちゃん!」


「は、はい、頑張っています。だけどこんな強敵を相手に、どうすればよいのでしょうか?」


「頑張れ! 頑張るんだ、賢者ちゃん!」


 戦いの真っ最中にレベルアップはしない。


 だから俺にできることは応援だけなんだ!


「具体的な戦い方とかないのでしょうか?」


 そんなの俺だってわからないよ!


「うう、頑張るんだ! この俺の精一杯の愛をきみに送るから。だから頑張って勝ってくれ!!」


「あ、愛? ううう……き、きもい……!」


 あれ、賢者ちゃんがぼそっとしゃべったけどよく聞こえなかったぞ。



『解析が完了しました』


 その時、合成音声のようなメッセージが賢者に届いた。


「わかりました!」


 賢者ちゃんは勇者を蘇生魔法で蘇らせた。


 あわわわわ、まるでゾンビだ。


「は、賢者! 戦いはどうなっている?」


「『闇の衣』をはぎとる方法がわかりました」


「なんだって?」


「魔王は愛なき破壊の使者。そして、『闇の衣』も愛によって消し去ることができるのです」


「愛?」


 なんだ、この流れは?


「愛の光で『闇の衣』をはぎとるのです」


 おいおい、まさか……!


「勇者様、愛しております」


「け、賢者……俺は……この戦いが終わるまでそんなことは絶対に言えないと思っていたが……だが、はっきり言おう。俺は賢者を愛している!」


 なにいぃぃぃぃ!!


「勇者様!」


「賢者!」


 二人は魔王と仲間の死体に囲まれながら強く抱き合った。


 ぶっちゅー。


 あー! やりやがった、こいつら!



「プ……プロトカルチャー!?」


 魔王がその光景に驚くと、その身を覆っていた『闇の衣』が愛の光によって霧消した。


「今だ!!」


「うぎゃああああああああああああ!」


 そこからはあっという間に魔王はやっつけられてしまった。



「…………」


 ぴこーん。


『おめでとうございます。勇者たちが魔王を倒しました』


 デスクにそんなメールが届いた。


 だけど俺はちっともうれしくなかった。



 この段階で、もうこのパーティの監視の必要はなくなり、新しい勇者パーティを担当してもよかったのだが、俺はやめることはできなかった。


 なぜならば、裏イベントで神様と対決するパーティもまれにあるからだ。


 これはとくに悪を討つとかじゃなくて、レベルアップを楽しむイベントのようなものだ。


 その時に俺は賢者ちゃんを奪い去ってやるのだ。


 というわけで、生き返った仲間たちも含め全員のレベル上限を撤廃して、いつでも俺と戦えるようにした。


 ちなみにこれには75,000円の課金が必要だった。



 しかし平和になった世界で、彼らは戦うことをやめた。


 勇者と賢者は結婚した。


 武闘家と占い師は遊び人と事実上の夫婦になったが、籍は入れてない。


 魔法使いは独身のままだ。


 追放された盗賊と剣士は結婚したが、ほどなく離婚した。


 賢者はそのうち勇者の子を産み、幸せな家庭を築いた。


「ううううう。離婚しろ、離婚しろ!」


 いや、離婚しても俺のところに来ないと意味ないけど。


 ある日、勇者の不倫がばれた。


「やったー、これで離婚だ!」


 だけど賢者はなんだかんだと許してしまい、それ以降勇者は決してほかの女には振り向かなくなった。



「…………」


 ふと、顔をあげてオフィスを眺めてみると、今日も神様たちは黙々と自分が担当する勇者パーティを監視していた。


 すごく広いのに暗鬱な部屋の中、俺だけが妙に浮いているような気がした。


「新しい監視でもするか……」


 そして、いつもの日々がまた繰り返されることになる。


「ああ、この魔法使いの女の子、ツンデレでかわいい!」

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