第39話 学園祭7

《大変な盛り上がりですね!皆様ありがとうございます!》

《次はメリアーナ姫を攫います!!》


「え!? きゃあ!?」


「メリアーナ!!」


急にクラスメイトの女の子二人に講堂の端のセットまで連れて行かされ、そこにある椅子に座らせてティアラも頭に乗せられた!

そして牢の扉にそっくりな物がガシャンと閉められた!


次は何!?

遠くにレイ様がいて呆然としているのが見える。

広いセットだ。


《題して「大切なお姫様を救え」の通りにメリアーナ姫がいる所まで助けに行っていただきます!!》

《知力!体力!時の運!勇者ストライブ様頑張って下さい!》


…里英ちゃん。

よく考えられるわね。

レイ様、うちのクラスが本当にごめんなさい!!


《デデン!問題です!》

《今回はそこから先にあるゴール地点まで走り問題を取り出して解いていただくというものですが!》

《途中には各障害物がありますので、クリアしながらゴールを目指します。しかし!ある障害物には特別ゲスト達が更なる敵として妨害してきます!》

《障害を乗り越え愛しのメリアーナ姫を助けられるか!?》

《障害物をクリアできなかったり、問題の答えを間違えたら最初からやり直しです》


「…これは大掛かりだね。お姫様待っていてくださいね」


レイ様が私を見た。


《ではスタート!》


そしてレイ様が颯爽と走り出した!


『ワァー!』とオーディエンスが応援している。

みんな楽しそうだ。

そりゃこの世界にこんなの無かったもんね…。


前世で言うなら障害物競争?

急に運動会みたいになってるんだけど!

平均台の様な細長い棒を次々と渡ったり、ネットを潜ったり。


レイ様!気をつけて!!

でもすごいわ!

初めて見るような仕掛けばかりのはずなのに難なくクリアしていくわ!!


《勇者ストライブ様、障害物をどんどんクリアしていきます!素晴らしいですね!》


運動神経も良いのね!


「!!」


《おっと!勇者ストライブ様、足が止まりました!》

《そうです!ここで立ちはだかる敵!特別ゲストの登場です!》

《学園のご令嬢方だけではなく、ご婦人方の心も虜にしてしまう!アレックス・ヴァリテ様でーす!》

《次の障害物はヴァリテ様より先にクリアする事ができれば次に進めます!》


『キャー!』『アレックス様ー!』と盛り上がる。


「アレックス…」


「こんなおもしろそうな事、参加するしかないよね!レイ!」


客席に手を振っているヴァリテ様、楽しそう。


《ではスタート!》


腰より少し低いくらいの高さの棒がズラリと並んでいる。

いわゆるハードル走。

え?ハードル走って難しくない??

しかもこの世界に無いものよね?

大丈夫かしら?

胸の前でギュッと手を繋ぎ合わせて祈るように応援する。


《両者良いスタートです。ややヴァリテ様の方がリードしているか!しかし勇者ストライブ様も追いついています!両者接戦!》

《ああっ!なんとヴァリテ様!バーに足が引っ掛かってしまいました!勇者ストライブ様はそのまま次の障害物へと向かいました!》


レイ様!良かった!

でも足を引っ掛けてしまったアレックス様も怪我はなさそうで良かった。

とても残念そうにしているけど笑っているわ。


「っ!ライル殿下っ!」


《また勇者ストライブ様の足が止まりました!さぁ!続いての立ちはだかる敵!特別ゲストは留学生のライル・ジャンドル殿下です!》

《ライル殿下もキリッとした瞳が知的、そして麗しく、ファンが急増中ですね!》

《二人で競い合い、障害物をクリアしてください!》



「ライル殿下まで何をされているのですか!はぁ、はぁ…」


「これも勉強の為だよ!」


「そうですか…」


「で、どうだった?私の恋のスパイスの効き目は?メリアーナ姫に気づいてもらえた?」


「っ!やはり!私達に絡んでいたのはワザとでしたね!」


「レイには借りを返さなくちゃね!」


「まったく!…そうでしたか、フフ」


「私がふたりに何かを言う度にメリアーナ姫がレイの背中にぴったり隠れてて役得だったでしょ?」


「…まぁ、そうですね」


「でも姫は本当に鈍いよね。ここまでとはね」


「そこが可愛いんですよ」


「よく我慢できるね、レイ」


「私の想いが届いたら、全力で愛しますよ」


「フフフ、怖いね!」



《何やら美男子同士の相談事でしょうか?気になりますね!》

《そろそろ準備はいいですか?ではスタート!》



何をふたりでお話していたのかしら?

でも笑ってたわ。


次の障害物は高さの違う跳び箱が並んでいる!

結構な高さがあるけど、大丈夫かな?

ハラハラするわ!!


《勢いをつけて両者最初の跳び箱はクリア!》

《そして次も!まだ余裕がありそうです!》


すごい!


《おっと!ライル殿下は最後の跳び箱はクリアならず!》

《勇者ストライブ様は…あっ!素晴らしい!クリアです!》


レイ様ーーー!!

すごいわ!格好良かった!!


ゴール地点にたどり着いて問題を取り出した。

息を整えながらレイ様が問題の用紙を見ていたら


「!!」


パッと横から里英ちゃんが取り上げた!


《実況席からこちらに移動しました!》

《何々?メリアーナ姫がとても大切にしているものはどれ?》

《なんと!ボーナス問題を引き当てましたね!》


…?

どんな問題??

嫌な予感しかしない問題だわ!


《三択です!!》

《Aストライブ様から贈られた独占欲塊のドレスと髪飾り!》

《Bストライブ様から贈られた愛のメッセージカード!》

《Cどちらも!》


「……C」


レイ様が私を見て答える。

そうであって欲しいと思っているような瞳で…。


《大・正・解です!!》


正解だけど!!

もー!恥ずかしいよ!

また顔が真っ赤になる。


『キャー!』とオーディエンスも盛り上がった!

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