第37話 学園祭5
学園祭2日目。
今は学園に向かっているところ。
昨日屋敷に帰ったらお母様が教えてくれた。
「まぁ、メリィ!その花束は?」
「レイ様にいただきました」
赤い顔で伝える。
「…そうなの」
優しく微笑んでくれた。
私の赤い顔で何かを察したようだ。
パーティーのエスコートの件もあったし、レイ様の気持ちも分かっているだろう。
「メリィに出逢えて嬉しいって想ってくれているのね」
「…」
レイ様はどうしてそう思うの?
そして、私は?
まだ答えが見つからない…。
学園に着くとレイ様が待っていてくれた。
教室まで送ってくれている間、何を話せばいいか分からずただ赤い顔で俯いていた。
昨日と同じように手を繋いでいる。
「あの、今まで通りでいいから」
「え?」
「いや、私の事は前向きに考えて欲しいのはそうなんだけど…」
「…」
「でも、今まで通りに話はしたいな。いいかな?」
照れた顔で微笑むレイ様。
「は、はい。お返事はもう少しお時間をください」
「うん」
繋いだ手に力がこもる。
優しい眼差しで私の手を握ってくれるレイ様の手に安心した。
「では後で講堂Bに行くね」
教室に入るとみんながこちらを見ている。
『昨日の熱烈な演奏聞いた?』
『ステキよねー!』
『ヴァイオリンもお上手なのね』
自席に着くと
「ほら!準備して講堂Bへ向かうわよ!」
里英ちゃんが背中をポンと叩いた。
「またお茶会をしましょう」
早苗様もポンとしてくれた。
考えをまとめるのは後だ!
今日はみんなで作り上げたゲームを成功させよう!
「では皆様!今日が本番です!絶対に成功させましょう!
そして、人気投票の1位を取るわよー!」
里英ちゃんの気合いが最高潮!
講堂Bにはお客様がもう集まりだした!
セットの周りには全体を見渡せる席も用意されている。
そちらにもお客様が入れるようになっている。
各自持ち場についてご案内を開始した。
お客様達楽しんでくれるといいな。
ーー『脱出ゲーム』とは ーー
謎を解いて閉じ込められた部屋から脱出する鍵を見つけます。
各部屋を脱出して行きゴールを目指します!
各部屋には問題が置かれてあり、謎を解く為のヒントが3つ隠されています。
隠されたヒントを見つけて無事脱出し宝物を受け取ってください!
『楽しそうですわね!』
『本当だ!』
『私達も並ぼう!』
説明書を見ての評判は上々のようだ!
ゲームの列のご案内係。
各ゲームの部屋の説明する係。
客席への誘導係。
最後に宝物を渡す係。
最後の部屋を脱出した後に渡す宝物はクッキーにした。
みんなでいっぱい作って少しずつ小袋に包み用意した。
その時にクラスのご令嬢方とも仲良くなれた!
私はゲームをクリアした人へ宝物のクッキーを渡す係。
皆、楽しんでくれたみたい!笑顔で出てくる!
「メリアーナ!」
レイ様がヴァリテ様と一緒に出てきた!
「レイ様!ヴァリテ様!脱出おめでとうございます!宝物をどうぞ!」
「ありがとう。楽しかったよ」
「本当に。よくこんなゲーム思いついたね!」
ヴァリテ様が感心してくれた。
「あ、ははは」
元々違う世界にあるゲームなのです。
「さて、私はここで。レイはもうひとつのゲームに行って来いよ!」
「え?」
レイ様が不思議そうな顔でヴァリテ様を見ている。
そう。実はこの広い講堂が使用できるので、もうひとつ別の世界観でゲームを作ってある。
でも私はそちらのゲームを作るチームではなかったから内容が分からないのだ。
里英ちゃんに聞いても『当日のお楽しみよ!』と教えてくれなかった。
「メリアーナ様も宝物を渡す係はここまででいいわ。ストライブ様と一緒に行ってきて!」
早苗様が背中を押す。
「え?おい!アレックス!」
「ええ?サナエラ様!?」
ふたりして謎のゲームの中に押し込まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます