第23話 王宮でパーティー2

「え?」


パーティー?


「パートナーがもしまだ決まっていないなら、私にエスコートをさせていただけませんか?」


私の手を更に優しく包み込み、近づく。


「!!」


手、手が!

きょ、距離が!


「ぜひ、私をパートナーに」


「!!」


今までで一番真剣な顔に見える。

その綺麗な濃い紫色の瞳に吸い込まれそう。

ドキドキがドキドキ過ぎて…もう無理!!

手、手をそろそろ離してくださいー!!


「は、は、はい…!」


訳が分からなくて、恥ずかしいし、真っ赤な顔で俯いて返事をした。


「…ありがとうございます!」


ストライブ様は満面の笑顔になった。


「!!」


至近距離で照れ要素がプラスされたあの目尻が少し下がった可愛い笑顔にまた衝撃を受けた。

ヤバい。心臓がもたん!


その後はストライブ様が私の教室まで送ってくれた。

みんなの注目を集めてしまったが、私のHPが減りすぎててどうでもよかった。

席に座りイッチくんマスコットを握りしめたまま、放課後までストライブ様の顔が頭から離れずボーッとしいた。


「メリアーナ様!もう授業は終わりましたわよ!」


「ダメね。魂が抜けているわ」


揺さぶられて気づくと里英ちゃんと早苗様が私を見ていた。


「…なんとなく分かってるけど、私の屋敷に来る?」


「そうね。噂も広まってるだろうし、こんな顔じゃあのフレッド様がどう出るか…」


お兄様にはリエッタ様の所に行くと伝えてくれ、3人で里英ちゃんのお屋敷でまた話をした。

社訓をするHPもありません。


「それで?」


「勉強会のお礼をして、イッチくんマスコットとクッキーを渡したら…至近距離で…て、て、手を握られて」


「マスコット渡したんだ…」


「王家主催のパーティーに決まったパートナーがいるのか聞かれて」


「…それで?」


「エスコートさせて欲しい。パートナーに選んでって…更に手を包みこんで!!」


「…それで?」


「その顔が真剣な顔で、瞳が…ギャー!!」


真っ赤な顔でソファーの上で悶え転がる!!


「…」


「その後の笑顔の破壊力ーーーー!!」


バンバンとソファーを叩く。


「…」


「この間の髪にチューも思い出すー!!」


ドンドンとソファーを叩く。


「髪にチューって?」


「勉強会の最後にーーー!!」


またソファーをゴロゴロする。


「へぇー。結構直球で攻めるタイプなのね。ストライブ様」


里英ちゃんがお菓子を食べながら聞いている。


「本当ね。特に今はストライブ様もたくさんの方からパーティーに誘われているでしょうからね。メリアーナのパートナーをフレッド様以外に決められないようにこの機会に行動したのね」


「そして、あわよくばフレッド様よりも先にメリアーナに承諾させた」


「兄として当然自分がエスコートするつもりだったはずだからね。今頃気づいてるわね」


「先に『私と一緒に行くんだからね』と芽衣に言っておかなかったのが運のツキね」


私のドキドキが落ち着くまでふたりは付き合ってくれた。

いろいろ聞かれたけど…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る