第21話 放課後の勉強会6
明日はいよいよテストだ。
なので今日は勉強会の最終日。
「ストライブ様、この数日間本当にありがとうございました」
「いえ。クリスク公爵令嬢は飲み込みも早く、少しヒントを与えるだけで、ほとんど教える事はありませんでしたよ。私の勉強も捗りました」
ニコリと可愛らしく微笑む。
うっ!その微笑みにまたキュンです!!
「そうでしょうか?」
でもストライブ様のお勉強が捗ったなら良かったわ。
「それにあなたと楽しい時間が過ごせました」
可愛らしい微笑みから一転、真剣な表情に。
「え…」
こんな表情もするんだと見ていたら
『きゃあ』
『見つめ合っているわ!』
『ストライブ様の想いがやっと!?』
『素敵なお二人よねぇ!』
なんて聞こえてきた。
「!!」
ヤバい!オーディエンスがまた!
「あ、あの、変な噂が広まりご迷惑をお掛けして本当に申し訳ございませんでした」
小声で謝罪する。
「いえ、迷惑だなんて…むしろ」
小声でも何でもなく、周りに聞こえる声で
「え…」
「もっとあなたと…」
ストライブ様の綺麗な濃い紫色の瞳がまっすぐに私を見ている。
私は動けなくなり、ストライブ様を見つめる。
そして私の薄紫の髪をすくい上げて口元に…。
『素敵!!』
『愛の告白よ!』
『キャー!!』
ざわめきが一層大きくなる。
「メリア!!」
突如、お兄様に引っ張られ胸に抱き寄せられた。
「!!」
「ストライブ様、本日までありがとうございました。今後、メリアの事は私が見ますので。失礼」
図書室から出て馬車へと向かう。
早歩きのお兄様に引っ張られる!
「お兄様!お兄様!止まって!!」
「……」
図書室からだいぶ離れてからやっと足を止めてくれた。
はぁはぁと肩で息をしながら呼吸を整える。
「私のメリアは可愛いから心配だよ」
ギュッと抱き締められた。
「…まだまだメリアはお兄様のメリアよ」
だから安心してね、と抱きしめ返した。
屋敷に帰宅して夕食を食べた後、自室で試験勉強をする。
気づくとストライブ様の真剣な表情を思い出す。
私を見つめる濃い紫色の綺麗な瞳。
そして私の髪すくい上げてを口元に…。
髪にキスしようとした!?
「ーーーーー!!!!」
真っ赤になってなんだか恥ずかしくてジタバタする!
いつもは可愛いのになんだか色気があったわ!!
「はぁ…」
ため息をつき、机の上に置いてあるイッチくんマスコットを指で突つく。
「イッチくん。なんだか私、変じゃない?」
イッチくんに聞いてみた。
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