第7話 婚約破棄のお願い

「私は…私はメリアーナ……!!」


戻った!

メリアーナ15年間分の記憶がー!

メリアーナちゃんお帰りー!

お待ちしておりましたー!

戻って来てくれてありがとうー!

記憶が戻るまで詳しく聞かれなくて助かったー!


ホーッと安心した。

戻らなかったら記憶喪失のフリするしかないと考えてたよ。

良かったー!


でも芽衣の記憶の方が強いのかな?

どっちも私なんだけどさ……。

性格が芽衣寄りになったような気がする。


「ま、いいか」


コンコン


「お嬢様、おはようございます。お目覚めでございますか?」


「ええ」


おっ!お嬢様っぽく喋れてるぞ。


「失礼致します」


「おはよう」


「お体はどうですか?」


ロジーさんがまた心配そうに訪ねてきた。


「大丈夫よ。少しくらいは動けると思うわ」


「そうですか!でもまだ安静になさってくださいね」


朝食やその後のお茶も飲んだ後に麗しい家族がまた様子を見に来てくれた。


「おはよう。今日もゆっくりとしていなさい」


父 エリオット・クリスク 42歳


「おはよう。後でまた来るわね。一緒にお茶を飲みましょう」


母 ルビー・クリスク 38歳


「メリア、おはよう。今日も可愛いね。学園から帰ったらまた様子を見に来るからね。無理したらダメだよ」


兄 フレッド・クリスク 17歳


「ありがとうございます」


はぁー。

今日も麗しい我が家族達。

しかし、そんな家族に報告しなければならない!!

報・連・相は大事なのだ!!


「お話があります」


学園で私の婚約者であるジャガー・ダンテに肩を掴まれて後ろに倒れてしまった事。

そしてジャガーは私を放置して逃げた事。

リエッタが助けてくれた事。

保健室まで運んでくれた親切な方はまだ分からない事を話した。


みんな驚いて厳しい顔つきになった。


「なんて事だ!!」


お父様当然激怒である。


「メリィ!怖かったわね!なんてひどい事をするのかしら!」


お母様が抱きしめてくれた。


「メリアをそのままにして……!許さない!ジャガー!」


麗しいお兄様も激怒して拳を握りしめている。


ジャガーとの婚約は12歳の時に決まったのだが、性格が合わずとても好きにはなれなかった。

何かとうるさく絡んでくるし、静かに本を読んでいたいのに取り上げられたり、興味も無い珍しいおもちゃだかを自慢されたり…。

そもそも好みのタイプではなかった。

三ヶ月~半年に一度会う位だったから我慢出来ていたが、学園に入学したら毎日毎日顔を合わせる。

向こうから会いに来る。

もう我慢の限界だったのだ。


この機会を絶対に逃さん!!!!


「婚約は破棄して下さい」


お願いした。

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