SPICY CINNAMON
塩漬け幾等
第1話
そんな日は嫌だった。
口に出す度に嫌味を言われる。罵られる。嫌われる。悪口を言われる。仲間外れにされる。
いつも。
何気なく放たれたその一言で、楽しかった日常など全て粉々に崩れてしまう。
偏見。思い込み。からかい。
崩壊を止めないと、もっとひどいことになる。
嫌がらせ。暴力。それをいじめと呼ぶ。
痛み辛みを分かってるのは自分だけで、それをいじめと呼称するのは何時でも第三者だ。
関わりの無い。関わりたくない。そう思っている傍観人だ。
言って何が悪いのか。
それは私の思うこと。
指摘して笑って何が悪いのか。
それは相手の思うこと。
別に。
誰も何も、悪くない。
悪くないのに。
たったひとつの、些細な小さな違い、それだけで、誰が悪いのか求めて、考えてしまう。
私たちは「悪者」という存在を名付けることに依存している。
別に。
それが世界、世間、日常を網羅していて、それで大人数が平穏な、無自覚で平穏な日常を過ごせるなら、それでなんとなく良いように思う。
誰かのために尽くすことが偽善だとしても。
今を思うように生きるのが「正しくない」行動だとしても。
でも、やっぱり。
「悪者」の対象である私も、そんな風な平穏な日常を過ごしたいと思ってしまう。
やっぱり、人間ってのは心に正直な生き物なんだ。
でも、それを周りは許してはくれない。
そんな息苦しい日々を送ってるときに、君に出会った。
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