おじいちゃんず! ~Ozy-ChanZ~
狐付き
大好きだった祖父の背
祖父が亡くなったとき、わたしは下らないことをしていた。
両親が共働きで、家が二世帯住宅だったから、子供のころのわたしは祖父母に育てられた。
いろんなことを知っていて、いろんなことができた祖父を、わたしは大好きだった。
いわゆる「おじいちゃん子」というやつ。だけど小学校高学年辺りから、周りにそう言われるのが急に恥ずかしくなっていた。
だってなんか、かっこ悪いじゃん。
そのせいで段々と一緒にいる時間が減り、中学に入ってからはほとんど会わなくなっていた。
趣味の合わないクラスメイトと話を合わせ、特に好きでもない流行りの服を着て、わたしはイケてるんだぞと無駄なことをするようになった。
中三になって進路を考えないといけなくなったとき、いい学校へ行ったからといっていい会社に入れ、いい生活ができるようになるわけではない昨今、無駄なことをする必要はないというみんなの意見に流され、高校なんて適当に行ければいいなんて思っていた。
友達との学校帰り、よく聞く流行りの曲をカラオケで歌ってたら、父から着信。仕事中のはずなのに珍しいと思い、電話に出て知った。
そのあとのことはよく覚えていない。気付いたら荷物も持たず家へ帰っていた。
もう話すことができない祖父の前で、わたしは大泣きした。たかが格好つけのために大切な時間を失ったんだ。
もっと話したかった。色々教えて欲しかった。だけど今更もう遅いのだ。
葬儀が終わり、遺品整理。祖母とふたりでひとつずつ片付けていく。思い出の品だとしても、邪魔になるものは捨てないといけない。それでもどれも捨てたくなく、嫌だなと思いながら荷物を調べていく。
そのときわたしは押し入れでギターケースを発見した。
「おじいちゃんは若いころ、そこそこ有名なバンドマンだったのよ」
祖母の言葉。祖父の高校大学時代はバンドに明け暮れ、祖母はそのファンだったらしい。
祖父の青春時代はどんなだったのだろう。わたしはなんとなく、その背を追いかけてみたくなった。
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