三国詩

@yonfunfan

第1話

ハナとハル


 ハナはLAでテクォンド道場を営む父親を持つとても活発な娘である。彼女自身も父親仕込みのテクォンド使い手で地元テクォンド界では有名な形の選手である。

 ハルはLAで空手道場を営む父親を持つとても誠実な青年である。彼自身も父親仕込みの空手の使い手で地元空手界では有名な組手の選手である。

 ハナは近年テクォンド普及の為に行われる今年のショーケースに形の試演で参加する予定である。ハルはそのショーケースに自身の空手に応用できる技などを参考にしたいと思い参加する予定である。ハナは試合以外での形の試演ははじめてであった為、少し緊張していた。ハルは他流の技や臨場感を経験できる数少ない機会であった為、少し興奮していた。

 テクォンドのショーケースは成功的であった。ハナは緊張のせいか細かいミスはしたけれど、大きな失態はなかった。ハルは他流のショーケースでその雰囲気などを直接感じる事が出来た為、とても満足していた。特に形の試演を印象的だと思い、その選手と直接話したいと思っていた時に近くで別の選手達と雑談中のハナを見つけた。ハルはハナと面識がなかったので、話しかける事に少しためらいを感じたが、勇気を出して話しかけた。ハルは自分の紹介を短くして今日のハナの試演にとても感動したことを正直にはなした。ハナも他流に興味を持っていたし、こうやって話しかけてくれて嬉しいと答えた。2人はその後の再会を約束して、その日はそのまま自分の予定をこなした。

 

 数ヶ月後


 ハナは久々に父の道場に訪れた。父のイルナムは弟子達と稽古をしていた。イルナムは若い頃、テクォンドの世界大会で優勝するほどの実力者であるし、この武道を愛している。こうして外国で道場を運営しているのもこの武道をもっと広めたいという情熱を持っているからである。イルナムの視野にハナが入った。


 お、久しぶりではないか。今までどうしていた

 

 なんでもないよ

 

 そっか

 

 少し話したいことがある

 

 え、今稽古中だし、後じゃダメかな


 今話したいの

 

 わかった。じゃ、事務所で待ってて

 

 イルナムは急に娘がやって来て話したいことがあると言うので内心不安であった。顔を洗って事務所に入っては平常心を装い普通に尋ねた。


 なんだ、話したいことは結婚でもするのか


 うん 


 いや冗談はいいから


 冗談じゃないわ 今外で待ってる

 

 え、誰が


 私と結婚する人、今から呼ぶね。

 

 イルナムは正直話しについていけなかた。ノックの後、体格のいい青年が手には果物の手土産を持って恥ずかしいそうな顔で部屋に入ってきた。変な男であったらそのまま門前払いを食らうところであったが、イルナムの目には自分と似た雰囲気のこの青年がとてもよい印象をしていた。その青年はハルであった。ハルはとても実直に挨拶した。

 

 初めまして、ミスターイルナム。お会いできて光栄です


 イルナムがハルの顔をちゃんと眺めて見ると、以前から知っている誰かの顔が思い浮かんできた。イルナムは少し動揺したけれど、それを隠しこう尋ねた。


 あなたの顔に見覚えがあって聞くけど、もしかして君のお父さんはミスタータロではないかね。


 はい、そうです


 それではお父さんから私の事はもう聞いたのかね


 はい、ハナを紹介した時にお話しは聞きました。父も驚いています。

 

 わかった。ミスタータロと話したいが、お父さんの道場は以前と同じ場所にあるのかね

 

 ハルは はい と答えた


 今日は急で私も驚いているので、また日を改めよう


 お父さん、私また話さないといけないことがあるけど


 そう言いながらハナが話しに入った


 悪いけど、少し考えたいから1人にしてくれ

 

 イルナムはそう言うと二人を事務所の外に出しドアをパタンと閉めた。ハナとハルは心配そうにそのドアを見つめていた。数日後、イルナムはタロの道場に向かった。イルナムはタロの空手道場を以前から知っていたが、訪れたのは今日がはじめてであった。イルナムは道場の前で中に入るべきか否か少し考えた上、これは決闘であると腹を括り中に入っていった。

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