第2話 フウマ子爵家
オギャーオギャーと煩いから目が覚めてしまった。
煩いのう…… ひ孫でも泣いておるのか?
いや、待て…… ワシは死んだ筈では?
うん、死んだのだろう。目が見えんし、体も動かんからな。
そこまで思考した時に声が聞こえた。
『アレ? 思考してる? 失敗しちゃったかな? まあ、今からでもいいや、取り敢えず封印!』
その声とともにワシは意識を失った。
そして、次に意識が戻った時にはワシは5歳の蒼い目をした外人さんになっておった。思わず鏡を見て叫んだよ。
「誰じゃーっ!! こりゃーっ!?」
その声を聞きつけてメイド喫茶に勤める格好をした娘さんが駆け付けてきた。
「コジロウ様! 今の叫び声は!? 何かありましたかっ!?」
コジロウ? はて? 確かにワシの名前は
だがワシ………… いや、僕はその時に知ったんだ。
専属メイドのマユの顔を見て全てのピースがカチッと頭の中でハマったのを僕は認識したんだ。
「いや、ゴメンよ、マユ。ちょっと混乱しちゃったみたいだよ」
僕はマユに素直にそう言った。
「ホッ、そうですか。大丈夫なんですね、コジロウ様?」
「うん、大丈夫だよ。それよりも母上はまだかな?」
僕はマユにそう問いかけた。
「サオリ様はまだお館様のお屋敷からお戻りになってません……」
少し悲しそうに、そして申し訳なさそうに僕にそう告げるマユ。
「そうか…… ああ、そんなに悲しそうな顔をしなくても大丈夫だよ、マユ。僕はもう大丈夫だから」
僕のその言葉にビックリした顔をするマユ。
「コジロウ様! お熱でも出てませんか? 急に大人びてしまって!? ホントに大丈夫ですか?」
コラコラ、マユ。丁寧語だけど年相応の言葉になってるよ。【ホントに】じゃなくて、【本当に】だよ。
「アハハ、熱は無いよ、マユ。僕は大丈夫だよ。それより、いつ母上が戻っても大丈夫なように、食事の用意をしておいてね」
「はい、畏まりました、コジロウ様!」
そしてマユは僕の部屋を出ていった。
僕の今のフルネームは、コジロウ・フウマだ。この世界には漢字もあって、漢字で書くと
そして、亡くなった父上は子爵だった。
父上が亡くなって、僕はまだ幼く1歳だったから爵位を継げず、今は父上の兄に当たる伯父上が伯爵位と兼任で、僕が成人の儀式を受けるまで領地を見てくれている。
仮の領主様だね。本邸に住んでいた僕と母上は、仮とはいえ伯父上が領主になるのだからと、離れ屋に引っ越ししたんだ。
で、成人の儀式を受けた僕が領地を継いだ時に、困る事がないようにと母上は伯父上の補佐をしているんだよ。
屋敷(本邸、離れ屋含め)の使用人たちは仮の領主の伯父上を【お館様】と呼んでいるけど、コレは伯父上の指示によるんだ。
「私はコジロウが成人するまでのツナギに過ぎないからね。領主様や、旦那様の呼称はコジロウの為のものだから」
そう言って伯父上は使用人たちにお館様と呼ぶように指示したそうだよ。
そうそう、伯父上は父上の兄だけど、姓は違うんだ。今の世界は、爵位それぞれによって姓が違うようになってるんだ。伯父上の名は、ススム・ホウジョウ。漢字だと
そして、我が子爵家は代々聖剣を守護してきたらしいんだけど、僕は成人の儀式を受ける前だからってまだ見せて貰えてないんだ。見たいんだけどね。
本邸の地下に大切に保管されてる聖剣の数は12本だそうだよ。聖剣ってそんなに数多くあるんだねって母上に言うと、
「コジロウ、聖剣はフウマ家初代様が自らお造りになられたモノなの。そして、世に出すには聖剣自身に選ばれる必要があるのよ。選ばれし者が現れた時に聖剣は我が家の保管庫から
って教えてくれたんだ。今は伯父上が管理して下さってるけど、僕も早く成人の儀式を迎えられるように勉強を頑張らなくちゃって思ってるんだ。
成人の儀式はその家の当主が我が子が十分に学問も身体も鍛えられたと認めた時に受けられるんだよ。年齢は関係ないんだって。前世だと20歳いや、18歳だったけどね。
それと、前世の妻を探したいなと思ってるんだ。僕がこの世界に来たんだから、前世の妻もきっと居ると思ってるんだ。
居るはず…… 居たらいいな…… きっと居るよね……?
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