異世界の聖剣は木刀でした……
しょうわな人
第1話 ワシは幸せだ!
ふう〜、これで製作した木刀の生涯本数は遂に三億本に到達したな……
ワシはここで一息つく事にした。思えば18歳でこの世界に飛び込み、師匠から木刀造りを任されるようになって55年。辛い時もあったが楽しい時の方が多かったように思える。
今でも思い出すのは
ワシはあの頃に最高の腕前になったと思ってたなぁ…… 天狗になってたんだよなぁ。今ではそれが間違いだと分かっているのだが。
だが、あの漫画のヒットで発注本数が馬鹿みたいに増えたのは覚えている。それにより腕が磨かれたのも間違いではないたろう。
それは、今でも
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10本の聖剣で一番人気があったのはやはり【封燐加斬】だった。五万八千本は造ったなぁ。次に【王権剣】も人気があったなぁ。コッチはちょっと届かずに五万五千本だったかな?
【雌蛤剣】と【性乱剣】は一部のマニアが購入してくれたなぁ。コレもそれぞれ二万本は造ったな。
不人気だったのは【砲殴添付】だ。コレは千本しか造ってない。だが、時代とは不思議なもので、今では数が少ないからとプレミアがついて、状態の良いモノなら、一本五十万円〜七十万円で取引されてるそうだ。
ワシも手元に五本残してあるから、娘達には金に困ったら売れと言ってある。
さてと、物思いに
気がついたら娘と孫とひ孫に囲まれていた。うん? どうして皆、泣いてるんだ? ワシが笑いながらそう聞くと、皆が泣き笑いの表情になる。何かを言っておるようだが、何故か聞こえん。
…… そして唐突にワシは悟った。
あ、死ぬんだな。やっと妻の元に行けるのか。長かったなぁ。妻は娘を一人、息子を二人、産んで下の息子が15歳の時に亡くなった。まだ、42歳だった……
ワシもやっとお前の元に行けるようだよと思いながら、手を握る感触に出来る限りの力で握り返した。皆の笑顔が更に大きくなる。
ああ、ワシは幸せだったんだなぁ……
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