vinny

yui-yui

00:狭間の決心


 もうだめだ。


 そう思った時の虚無感は、見ている人間の心を少なからずざわつかせる。


 例えばそれが、言葉で判ったとしても、周りのことに気付けるずはない。


 本当はもっと何かできるんじゃないかって、本当は手を伸ばせたんじゃないかって、判っていても。


 そのまま落ちて行く。


 結局その方が楽で、あとは上向くのを待てば良いんだって。


 けれど、落ちたまま終わることなんて、良くあることだ。

 

 上向いたつもりでも、少しも浮上していないことに気付けないなんて。


 立っていられなくなるという事実に、目を背けたい気持ちも。


 行き先をなくしてしまったという事実も。


 いなくなってしまったという現実も。


 いつかは笑って過ごせるという真実だけは、受け入れることができない。


 そんな、気がした。



 00:狭間の決心 終り

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