会○たくて会○たくて震○る

 雪兎くん雪兎くん雪兎くん雪兎くん…って、今日は別に抜いてる最中じゃないよ。オレだって、常に四六時中抜いてる訳じゃないから。そんな、オナニー覚え立てのエロガキじゃあるまいしねぇ。


 みなさんこんばんは、長谷川理玖です。一時は、どうなる事かと思いましたが…。雪兎くんと仲直り出来たに留まらず、さらに進展する事が出来た。気分上々で、自宅に戻ってきた次第ですよ。

 え?抜いてなかったのなら、いったい何をしてたんだって?自室ベッドの上で枕とか抱えながら、ちょっと身悶えしてのたうち回ってました。うん、大して変わらんね。

 晴れて、雪兎くんの彼ぴっぴになる事が出来た…。その幸せを噛み締めるのに忙しくて、ちょっと乱舞とかしてた訳ですね。

 気がつけば、傍に置いていたスマホからLIMEの着信音が。すわ、雪兎くんかな…。と思いきや、その兄の楓さんからでありました。伊勢嶋邸でのエピソードを、ちょっと追加してお伝えしますね。

 雪兎くんと別れて(お義母さまとも丁重に挨拶をして)、さぁ自宅に帰るか…。と思っていた所、例のだだっ広い庭で声をかけられました。

 おそらくは地毛の茶髪と年頃から、話に聞いていた「楓兄貴」だとすぐに分かりました。だけど、何故だかサングラスとマスクで顔を隠している。自宅の敷地内で、何で変装する必要があるんだろう。雪兎くんが「クソ兄貴」と評する理由が、早くもちょっと分かりかけてきた。

 「お…お兄さん、うちの雪兎を憎からず想っているそうで。なかなかに、お目が高い…。お近づきの印に、これを」

 そう言って、自身のスマホを目の前に出してきました。一瞬、何か変なもん見せられるのかと思ったわ。おそるおそる、画面を覗くと…。

 「雪兎LIMEスタンプだよ。良ければ、これを使いたまえ。友人やご家族に拡散してもらえると、なお嬉しい」

 え?実の弟の、LIMEスタンプとか作ってんの?何こいつキモっ。それはそれとして、有り難く受け取るけどさぁ…。肖像権とか、大丈夫?家族だから、OKなのかなぁ…。

 これまたどうでもいいけど、クリエーター名の「kaede0229」が自身の名前と雪兎くんの誕生日を合わせたものらしいよ。雪兎くんって、2月29日生まれなんだ。4年に一度しか、訪れないってやつね。その情報だけは、ちょっと有用だった。オレは早生まれなんで、向こう半年以上は雪兎くんと同い年の14歳って事ね。その事実も、何だか妙に興奮した。

 スタンプを受け取るのにLIMEを交換せざるを得なかったけど、代わりに雪兎くんのお宝画像を色々と送ってくれるってさ。嬉しいけど、何で弟のお宝画像とか保存してるのさ。重ねてキモい。あとあなた、受験生でしょ?医大に進学するため、日夜猛勉強してるって話じゃなかったっけ。こんな所で、弟の友達と油売ってていい訳?

 まぁいいや。以上が、伊勢嶋邸を去る時の顛末だよ。割と本気で、どうでも良かったかな。あと、自分の傘持って帰るのすっかり忘れてた。当初の目的、どっかに飛んでたな…。まぁ、いつかまた雪兎くんに会いに行くための口実だと思って。

 以上、回想終わり。楓さんからのLIMEの内容だけど、早速「お宝画像」を送ってきてくれたらしい。

 『今日は、幼少時代の雪兎を知ってもらおうと思って…。おっと、画像を間違えた。これは、つい最近家族旅行で温泉に行った時の雪兎だったぞ!?』

 何だこいつ、白々しい。LIMEで文章打っといて、「間違えた」もクソもないだろう。それはそれとして、画像そのものは有り難く保存させてもらうけどね(※カクヨムの読者さんには見せられないので、心の眼でお楽しみ下さい)。これも、永久保存して使わせてもらうわ。

 しかしこの兄貴、実の弟の温泉画像とか撮影して保存してる訳?しかもそれを、拡散して回ってる訳?予想はしてたけど、なかなかにやべーやつだな…。

 と思っていたら、今度は通話の方の着信音が鳴ったぞ。この曲(※西○カナの、会○たくて会○たくて震○るやつにしたよ)は、すぐに分かった。今度こそ、雪兎くんだ!もちろん、速攻で着信ボタンを押したさ。

 「りっくん?ごめんね、うちのクソ兄貴が変な物送りつけて。さっき送った画像は、海に捨ててぇー!」

 よくは分からんが、リビングかどっかでLIMEしてたと思われる。そんなもん、後ろから丸見えでしょ。化け物みたいな偏差値って聞いてたけど、考えて分からないものだろうか。

 「もちろんだよ、すぐに削除したから(嘘)。それより雪兎くん、風邪の調子はもういいの?」

 「うん。明日からは、普通に学校行けそう。ちょっと、クソ兄貴をシめてた所だよ。ごめんね、心配かけて」

 おおう。雪兎くんの口から、初めて殺伐とした言葉聞いた。でもちょっと羨ましいなぁ、兄貴。オレも、雪兎くんに一度シめられてみたい。

 話の内容はアレだけど、せっかく通話を始めたからって事でこのまま続ける事にしたよ。何だかこの状況も、カップルになりました感があっていいなぁ。

 流れで、兄貴の事を詳しく聞く事となった。産院で生まれたばかりの雪兎くんを見て、ひと目で心を射抜かれてしまったそうだよ。当時、3歳とかそれくらいでしょ?考えた以上にヤバい奴だったな、楓兄貴。

 「それからは、俺のためであれば一般常識や社会倫理はどうでもいいって感じで…。いわゆる一つの、サイコパスだよ。身内でさえなければ、半径100mにだって近づきたくない」

 クソミソな言い方だが、気持ちは分かる。雪兎くんって、ストーカーされやすそうと言うか…。特定の人間に、溺愛されやすい体質なのかな。え?その中の一人に、オレも入ってんの?

 「でも、サイコパスかぁ。オレも妹とか元カノに、『サイコパスみある』って言われた事あるわ。そんなのって、あり得ないよね?」

 「え?そ…………それは、うん。りっくんは、とっても優しい子だよね」

 あぁ、決して「違う」とは言い切ってくれないんだ。分かってはいたけど、少なからず傷ついた。雪兎くんが、わざとらしく話題を変えるように言う。

 「と…ところで、りっくんは今何をしてたのかなぁ?」

 「ナニしてた♡」

 電話の向こうで、生唾を飲み込む音がする。よっしゃ、安定してチョロい。

 「ま…また、そんな事を言う!年上のお兄さんを、からかうもんじゃありませんよ」

 「だって、本当の事だったからさぁ…(嘘)。雪兎くんは、風邪引いてる間にオナニーとかしなかったの?」

 「一度だけ、抜いたら体調良くなるかなぁって…。全然気持ち良くなかった上に、かえって悪化したんだけどね」

 「あるあるだな。ってかオレは、風邪引いた事ないんで分からないけど。そうだ…。せっかく話してるんだから、このままビデオ通話にしてオナ電する?」

 そう言って、ビデオ通話の許可を求める。実は、楓兄貴に送られた画像見てからムラムラしてはいたんだよね。電話口の雪兎くんが、焦って返事をした。

 「し、しないよそんな事!明日から学校なのに、また風邪ぶり返したら嫌だしさぁ」

 「じゃあ、雪兎くんは見てるだけでいいよ。オレが、カメラの前で抜くから。許可ボタン、押してくんない?」

 「…はい…」

 雪兎くんが返事したと同時に、ビデオ通話が始まった。本当に、重ねてチョロいな。でもこのチョロさが、雪兎くんの可愛い所なんだ。

 「それじゃ、今から雪兎くんの事を考えて抜きまーす」

 そう言って、カメラの前でズボンとパンツを同時に脱いで見せつけてやった。雪兎くんが、食いつくようにガン見する。

 「うっわぁ…。りっくんのって、本当に大きいよね。ってか、ビンビンだぁ…」

 「雪兎くんと喧嘩したと思って、しばらく抜いてなかったからね(嘘)。だけど、仲直り出来て本当に良かった…」

 「うん、俺もそう思う…。って、そんな事しながら言ってても説得力ないからね!?」

 これは失礼。しかし今更ながら、両手が使えるようになって本当に便利だ。カメラの前で扱いて見せつけていたけど、あっと言う間にイっちゃいそう。昨日、あれだけ抜いたってのにね。

 ところで、問題?が一つ。いつもは、ティッシュ用意してそこにぶちまける派なんだけど…。今日は目の前のスマホの画面で、雪兎くんが口を開けて見守っている。

 ここにぶっかけたら、雪兎くんに顔射した気分になれない?超気持ち良さそう。うーん、だけど後始末がクッソ大変そうだなぁ。しばらく、スマホ使いたくなくなるわ…。


 うぅ。早くどっちか決めないと、そろそろイっちゃうんだってば。

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