犬と板
三九ななな
第1話 犬
犬と板
海で溺れる犬がいました。
小さな手足で必死に泳ぎますが、なかなか進むことができません。
周りは真っ暗で何も見えません。
犬は疲れて、眠くなってきました。
その時、犬は海に浮かぶ1枚の板を見つけました。
それはとても古く、小さい板でした。
犬は板に乗りました。
人が乗れば沈んでしまう板でしたが、犬が乗っても沈みませんでした。
犬は板の上で体を休め、水に濡れた体を乾かす事ができました。
翌朝、体が乾いた犬は、白く輝いて、とても綺麗な犬だった。
犬が辺りを見渡すと、遠くに陸地が見えます。
犬は陸地を目指して板に乗って水をかきました。
犬の小さな足では、なかなか前に進みません。
それでも、犬は諦めず、陸地を目指します。
やがて、陸地の様子がみえるほど近づいて来ました。
陸地には海辺があり、その先には緑の葉と白い花をつけた木々が並んでいます。
鳥や牛、ウサギなど動物も沢山見えます。
仲間の犬の姿も見えました。
犬はお腹が空いているのも忘れて、懸命に足で水をかきます。
犬は泳ごうとは思いませんでした。
助けてくれた板を、一緒に連れていきたいと思いました。
ようやく、犬は板と一緒に砂浜に到着しました。
犬は板を仲間のいる森に連れて行こうと、口に咥えて引きずって行きました。
森の入口に着いた時に、板は草が絡み、動かなくなってしまいました。
犬はこれ以上、板を連れていけない事を理解しました。
犬はありがとう。と感謝をしました。
犬は板を残して、仲間のいる森へ帰って行きました。
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