魔王のいない世界

タカ

第1話

第3次人魔戦争。

今から約300年前に起きた人類と魔族の最後の戦争。


この戦争では人類の勝利に終わり、今まで人類と魔族の戦争は起きていない。


そして今後も起きないとされている。

何故なら魔族は滅んだとされているからだ。


しかし戦争が無くなったわけではない。


次は人類の中で領土争いの戦争が起きたり、思想の違いで戦争が起きたりした。


俺としては、そのまま仲間割れを続けてくれて良かったんだが、ここ数十年の間は戦争と呼べる様な戦いは起きていなかった。


何故そうなったのか。


もし俺がその事に興味を向けていたら、今みたいにこの身一つで棲家から逃げ出す事になっていなかったかもしれない。


「いや、あの人間達を見る限り、我が家が攻略されるのは時間の問題だったか」

俺は棲家だったダンジョンがある方向を眺めながらため息を吐く。


俺が住み着いてかれこれ300年位経っていたから愛着もあったから喪失感がかなりある。

巷では「不死王の棲家」とか呼ばれてたけど、そのダンジョンには不死王なんて奴はいない。


いるのは強力な魔物達とアンデットが1体だけだ。


「それなのに、何であんな強そうな装備を着けてくるんだよ」

思い出すだけでもため息が出る。


5人いるパーティの全員が聖属性を付与された武器と防具を装備していた。

アンデットの俺は手も足も出ない。


だから一目散に逃げた。

俺は勝ち目の少ない戦いはしない主義なんだ。



「でもこれからどうするか…」


とりあえず人間がいないところへ行こうと思う。


俺は記憶を頼りに人間達の生活圏とは逆方向に歩き出した。

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魔王のいない世界 タカ @takahiro369

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