深窓のレイネ
汐海有真(白木犀)
1.レイネ
わたしは、絵を
真っ白な紙の上に、
でも、わたしが
とある少女が、
初めてレイネを
ふと、それだけでは物足りないような心地におちいった。見たものをそのまま
これが、わたしとレイネの出会いだった。
それからは、見たものをそのまま
自分が
でも、わたしとレイネは、ほんとうに出会うことなどできない。わたしはレイネを
でも、それはわたしの思いこみだった。
わたしはその日、ほんとうの意味で、レイネと「出会う」ことになるのだった。
*
もうすぐ春が終わろうとしている季節の、休日の昼下がりだった。
わたしは中学校を卒業して高校一年生になり、始まった新しい生活にもようやくなじんできた。地元の町を、音楽を
ふと、前から歩いてきた一人の少女に気づいて、思わず息をするのを忘れた。
まず目に
高い
目があう。
桜色の
「……どうして、私のことを見ているの?」
「あ、その、すみません」
わたしは
「別に、
「えっと、あの、こんなこと急に言いだしたら、やばいやつだなって思われちゃうかもなんですけど」
「ふふ、そんなこと思わないよ。続けて?」
「ありがとうございます……その、わたしがよく絵に
「へえ。それって何だか、面白いね。私、
「そうなんです……わたしもすごく、
「そりゃ、
「わたしですか? わたしは、
「へえ、
「え」
レイネ。
目の前の
「……
そう言って、
わたしはおずおずと、自分の右手で、
ほのかに冷たい手の温度。
その体温が、どうしてか、なつかしいように感じられた。
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