第2話 新しいパーティーを探すおっさん冒険者

 パーティーを抜けた翌日、ディアは元パーティーメンバー達からの解雇宣言を受けどんよりと憂鬱な気持ちで、宿の朝食をとっていた。


「今日は休もうかな……急いで探す必要もないし心の傷を癒してからでもいいんじゃないだろうか。今日くらい……」

「ディアさん」

「いや、今週くらい、いや今週……、いっそ今月は休みにしてしまうか」

「ディアさん?聞こえてる?」

「うわ、びっくりした……宿屋のおばさんか。何か用?」

「お姉さんだ。あたしはまだおばさん呼ばわりされる年じゃないよ」


 美人か美人じゃないか。

 そう尋ねると美人だとほとんどの人が答えるだろう。

 おばさんかお姉さんか。

 そう尋ねるとおそらくおばさんに近いであろうお姉さんが一つ咳払いをして、ディアへと手を差し出した。

「舐めろと?」

「ディアさんが舐めてるのは人生だけで十分だよ。今週で前払いして貰ってる家賃は終わるけど来週はどうするんだい?」

 ディアはポケットの財布を軽く撫でて……。

 

 閑話休題


「俺は贅沢をしたいと思っていない。普通に死なない程度に水を飲み、食事を取り、襲われる心配なく安心して眠れる生活。それだけしか求めていないんだ。それなのに、なぜ働かなければ実現できないんだろうか」

「深い言葉のように言っても、それ当然の事を言ってるだけですからね……?」

 呆れたような態度を取るギルドの受付に、本題を切り出す。

「前のパーティーを解雇された。新しいパーティーを紹介してくれ」

 ギルドには冒険者仲間の募集なんていくらでもある。


「レベル10!?嘘だろ、ディアさん俺より年上だよな?レベル20は無いと俺達の依頼についてこれないぞ」

…… ……

「レベル10ですか、ちょっと私達の依頼は難しいと思いますよ」

…… ……

「あの、私達のパーティーはみんなで楽しくやるのが目的なので、その。強いベテランの人を求めている訳じゃないんですよね」

…… ……


 同年代のパーティーではレベルを理由に断られる。

 同レベルのパーティーでは年齢を理由に断られる。


「俺は贅沢をしたいと思っていない。普通に死なない程度に水を飲み、食事を取り、襲われる心配なく安心して眠れる生活。それだけしか求めていないんだ。それなのに、なぜ働かなければ実現できないんだろうか。そしてレベルや年齢でなぜ働く事もできないのだろう。ギルドの方針、冒険者という立場、国の政策のどれが間違っているんだろうか。どう思う?」


「……少しだけ、さっきよりも深い言葉になりましたが」

 受付は少し思案し、人差し指を立てていいアイデアを思い付いたというように。

「そうだ、ディアさんがソロで依頼を受ければいいのでは?」

「支援職がソロで依頼を受けられると思っているのか?」

「別に魔物と戦う必要はないですよ、ドブ掃除とか農業の手伝いとか、そういうので生計を立てている方も居ますし」

「それ、搾取されるやつだろ。掃除業者の大手がアウトソーシングで格安の人材(ぼうけんしゃ)に掃除させるとか、農家の人が土地を貸して収穫時に八割持っていくとか、そういう搾取構造の奴だろ?ギルド前で演説している人がいたぞ」

「……さぁ、なんの事でしょうか」

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