進化の果てに
ザイン
復讐者誕生
第1話 生い立ち
「『ラカム・ルガール』またお前か」
1人の少年が教師に呆れられながら呼び出されていた。
「・・・・・。」
「何度言ったらわかるんだ。人に手を出してはいけないと」
「じゃあ、先生はあいつらが俺のあることないことを言いふらして俺をクラスから孤立させてることはいいのかよ?」
「それは・・・・彼等にも散々指導している。」
「やめるどころか、酷くなってるんだけど」
「それは・・・・あまりいうべきではないのだが、ラカム君にも原因があるのではないか?」
「はぁ?」
ラカムの鋭い視線に教師は息を飲む。
「大体。無視すればいいものを君がいちいち反応するから、面白がっているんじゃないのか?それに手を出してしまったことに目をつむったとしても・・・・・やり過ぎだ」
「俺は普通にやり返してるだけだ」
「普通ってラカム君・・・・・12歳にして一発拳を振りかざして頬骨を折ったり、腕を掴み続けたら爪が刺さったとか。私からしたらやり過ぎいやそれ以上だ。君が悪者扱いされてしまうのも無理はないぞ」
「君のおかげで私はこれからケーンの親御さんにあって事情を説明しないといけない。当然君のご両親にもまた来てもらう必要がある」
「・・・・・。」
「これ以上私に気苦労を負わせないでくれラカム。」
「いつもみたく教室で大人しくその時を待ってればいいんですか?」
「そうだね。そうしてくれ」
「失礼しました。」
ラカムが教室を後にする。
「先生。お疲れ様です」
「あっどうも」
「ルガールくん。もうすぐ卒業ですけど、結局学校の子達と誰一人仲良くなれずに巣立ってしまいそうですね」
「・・・・・彼を導いてあげられなかったのが、悔しいです。」
「それにしても・・・・また一層睨みがきつくなりましたね彼。」
「・・・・・」
「温厚なご両親をお持ちなのに何故彼はあそこまで人付き合いが苦手なのか不思議なんですよね。」
「確かに、そうなんですよね」
「入学当初から確かに他の子にはない独特の存在感がありましたけど、ここ最近は存在感というより威圧感?というんですかね?なんか彼を恐れてしまう自分がいます」
「そうですね。あの他人を寄せ付けない雰囲気が彼を孤立させているというのはわかるのですがね。結局解決できぬまま、彼を送り出さないといけないようです」
「先生・・・・」
「彼がこの先どのような人物になるか、私は心配です」
「いくら我々がフォローしても、最後に決めるのは彼自身ですからね。ルガールくんの成長を信じましょう先生」
「そう・・・・ですね」
その日の帰りは既に日が暮れていた。
「父さん、母さん、ごめんなさい」
「手を出すにしても骨折までさせてはいかんなラカム」
「お父さん。手を出すこと自体よくありません」
「ハハハ。ルガール家の家訓言ってみろラカム」
「『思ったこと、感じたことはありのままハッキリ言う、伝える』・・・・でしょ?」
「そうだ。お前はそのお友達の言ったことが間違っていると思ったから、力づくでも止めようと思ったんだろ?」
「うん」
「なら・・・・・何も悪いことなどない。ただやり過ぎはいかんな」
「はい。お父さん」
「うん!わかればよし!!」
「わかればよし!!じゃありませんお父さん。ラカム。言われなきことでも手を出せば周囲は疑いの目を向け続けます。このような時は言葉で相手を納得させなければいけません」
「母さん、どうやって?」
「人は元々眠る【本能】の他に他の動物にはない【理性、知性、感性】があります。即ち【心】に訴えるのです。自分の主張を」
「・・・・・」
「ただ闇雲に訴えても相手は納得しません。感情に左右されない理性、幅広く深い知性、そしてその者から滲み出る感性。その3点が一つになった言葉に、初めて人は感化され影響されるのです」
「・・・・・それはどうやって身につけるの?」
「その為に学校に通っているのでしょう?来年からはラカムは新しいステージです。ですが新しいステージでは今みたいに力で屈服させるやり方が通用しなくなる時が来ます。これからは今言った3点を意識して行動しなさい」
「はい!母さん」
「・・・・・いや~母さんにはほんと頭が上がらんなラカム」
「お父さんは本能のままに生き過ぎなんです。もう少し理性的に過ごしてください」
「ハハハこれは失敬」
笑顔の絶えない家族。ラカムにとってそれは唯一自分にとって大切な存在だった。そうこの時までは・・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます