第一章:のこちゃん、怪人になる
01 のこちゃんの最期
都内の
すでに、学生たちは期末テストを乗り越えて、夏休みの時期に入っていた。
「あっ、もうみんな集まってるってよ!」
「何言われるか分かんねーから、急ごうぜっ」
メッセージ
「ああ、夏休みかぁ………」
「自分も
夏の
「この
「
「あー、かわいい、かわいい」
「何よ、その
そのまま何事も起こらねば、
都心に近く大きな通りに面した
タクシー乗り場からも少し
この
いち早く目的地に
車道では、信号に止められている自動車の
太陽に熱せられたアスファルトからは、少し
まだ
そんな中で、
「?」
多くの歩行者たちが
同時に、車体を
歩行者たちは、悲鳴を上げる間もなく、その場で爆発に
それは、
それは、何者かにより、何かしらの目的を
それは、
爆発の中心からは
そんな
空には、すでに
中には
親とはぐれてしまった幼児や小学生くらいの子供たちも、念のために
泣きやまない
この起きてはならない
「あなた、お名前は言えるかな?」
できるだけ
「ふう…」
タブレット
しかし、不安でいっぱいいっぱいになっているであろう子供たちの力になるべき自分がそんなヤワなメンタルでどうすると、若い女性警察官は、すぐに気持ちを強く立て直し
時間が
そんな子供たちの中にあって、その少女は、
「…あなた、えーと、日本語は話せるかな?」
「ええ、問題ありません」
恐らく、小学校低学年と
両方の
「え、えーと、その
「はい。よくご
相変わらず、
「来年、
「そうでしたか。もしかすると、
にっこりとしながらそんな大人びたやり取りをする少女から必要な事を聞き終えると、若い女性警察官は、あたふたと次の子供へ向かってしまった。
ここには、事件に
全員が、
ふたたび一人に
「何故、あなたは、笑っていたの?」
その日、
その中に"
現在は、
――――――――――――――――
時間は、少し
夏休みに入ってからというもの、
ちなみに、かなり
身長が155㎝くらいで体格も細からず太からずなその
とは言え、基本的に
ただ最近、そんな仲の良い友だちらが部活やら習い事やら
まぁ、わざわざ暑いさ中に
『チャムケア』とは、悪と戦う正義のヒーローをコンセプトに、どこにでもいそうな中学二年生くらいの少女を主人公に
フリフリでヒラヒラな
登場人物たちの成長を
かなり前に女児層から外れてしまったのこちゃんではあるものの熱心なファンを
であるのだが…
それでも、夏場の生き物たちを
その日に予定した課題を
そんな折り、今日はどうするかなぁとのこちゃんが考えあぐねていると、部屋の外から祖母の声がかかった。
「のこちゃん、ちょっと良い?」
「何、おばあちゃん」
ドアを開けてみると、一つの封筒を持った祖母が複雑な
「のこちゃん
「?」
受け取ってよく見てみれば、公的な
その夜、祖父に相談すると、どうやら電話でも事前に警察から連絡が入っていたと
どうやら祖父は祖父で、のこちゃんへどう伝えるか、そもそも伝えるかどうかを悩んでいたらしい。
両親を亡くしたのこちゃんがお母さんの実家である
お母さんとはもっと早く事故で
そのお父さんが、
「ああ、お父さん関係か」
「都内の警察署まで、のこちゃん一人で
最近は都内のあちらこちらで
「別に、お父さんの事は嫌ってないからかまわないんだけど、誰かの顔を見るだけらしいし?」
のこちゃんは、幼い頃から、
もちろん、のこちゃんがそのやくざ者の顔を憶えている
「確かに、最近の都内は危ない感じよねぇ………」
「そうだろぅ?
せめて、
のこちゃんは、親愛を込めて、きょう姉さんと
「まぁ、きょう姉さんも出張中だしねぇ、でも何とかなるよ」
ただ、のこちゃんには思う所があるらしく、すでに一人で行く気になっていた。
「パッと行って、パッと帰ってくるからねっ」
当日、警察署に着いてからのこちゃんがお願いされた事は、
マジックミラー越しに見えたのは、短髪でやくざ者と聞かされていたのに
終始ぼんやりと目の前の何も無い空間を見つめるばかりで少し気になったものの、鼻の形に
しかし、名前は知らないし、のこちゃんと直接親しくしていた訳でもないというただそれだけの相手である。
のこちゃんに付いていた女性警察官にそれを伝えると、女性警察官は手にしたタブレット
ここまで色々と
「………ちょっと
これなら、わざわざ足を運ぶまでもなく、動画や写真でも良かったんじゃなかろうかと思うのこちゃんである。
とは言え、
そう、この話が持ちかけられた時、のこちゃんはかねてからの
何しろ、警察からの
ならば、帰りの電車をうっかり乗り
もちろん、
調べようと思ってもスマホが無いんだからしょうがないよねと、この
じゃあ駅員さんに聞けよとツッコミを入れてくれる友だちは、その時、残念ながらのこちゃんの近くにいなかった。
――――――――――――――――
のこちゃんがその少女に気がついたのは、計画を
小学校低学年くらいだろうか。
小さな体つきはそれとしても、夏の
言ってしまえば、王道ファンタジー物語のイメージイラストに好んで描かれそうな、文字通りの美少女である。
都心の
しかし、その少女の立っている場所だけは、
ビルとビルの間に出来たスペースの入り
ただ、
「あれ、多分カナハちゃんと同じだよねぇ………」
カナハちゃんは、
小学校低学年の女の子なのだがひょんな事で知りあい、今では、チャット用アプリ"レイナー"でチャムケア専用のグループを作って、毎日の様にチャムケアについて熱く語り合う仲になっていた。
夏休みに入る前の
現在、カナハちゃんも家族で海外へ旅行中で、
「はぁ~、お
お子様にしてこの
聞いた話では、カナハちゃんの家から学園に通う方が、この都心へ出るよりもよっぽど近いらしい。
恐らく、
そんな事を考えながら歩いていると、その少女がこちらをじっと見ている気がして、のこちゃんは首を
「気のせいかな?」
少女が立っているのは、のこちゃんの進む先である。
そのため、のこちゃんが少女に
「………もしかして、カナハちゃん関係かな?」
その少女を
とは言え、特にカナハちゃんからその少女について聞いた事も無いので、
ふと、少女に近づく事でその
そこは、大人の男性が二人並べるくらいの
もしかすると
そんな事よりも、都心の近代的なビル
以前、都市へ開発される前からその土地で
この新しいものと
目の前でこちらをガン見している少女が放つ非日常性と
そんな変な感心をしつつも、少女とは、お
もうこうなったら少女へ話しかけるしかないと、のこちゃんは、決意してもう一歩前へ
「ねえ?あなたは………」
その時である。
それが
一歩前へ
そして、
わたしのチャムケア活動。
そんな感覚があったのかどうかも分からないが、意識が
二度目のひときわ大きな爆発で、少女はその場にうずくまるしかなかった。
それから、どれ程の時間が
しかし、そこに、のこちゃんの姿は見あたらない。
彼女は、どこへ消えたのだろう。
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